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【7事例】RPAでどこまで業務効率化できているのか?(金融機関以外)

2017.12.11 Mon

その他

RPAの活用の実態

目次

記事の著者:編集長 紺野祐樹

 

RPA(Robotic Process Automation)は、ロボットで業務を自動化する手段であり、業務効率化のけん引役として注目を集めています。特に最近は、活用を検討する企業が一気に増えてきており、ブームになってきています。RPAとはよく耳にしますが、「実際どこまで期待できるのか?」、「誰にとって役立つものなのか?」を知りたくてRPAの利用者に取り組み実態を伺ってきました。

金融機関ではRPA活用宣言ラッシュ

大手金融機関では、三菱UFJフィナンシャル・グループは「国内の事務作業の自動化やデジタル化で9500人相当の労働量の削減を実現したい」(2017年9月19日の日本経済新聞)、三井住友フィナンシャルグループでは、「これまでにRPAによる自動化で約200業務、40万時間の業務量削減を実現しており、今年度末迄には100万時間、3年以内に300万時間(約1,500人分の業務量)以上の業務削減を実現」(2017年11月13日のニュースリリース)などの発表が相次いでいます。また地方銀行でも、第四銀行が2017年11月10日にRPAの正式導入を発表するなど、RPAの活用宣言ラッシュとなっています。

他の業界も同様か?

RPAは大量の定型作業が存在する業務において、大きな効率化が見込まれると言われています。
(正確には、定型作業の自動化だけでなく、その先にはAIを用いた非定型業務の自動化などもRPAの活用が期待されています)

素人イメージでも銀行は伝票処理などで大量の定型作業がありそうな気がしますが、他業界ではどうなのでしょうか。金融機関以外の事業会社でRPAを導入し、活用に取り組んでいる方に話を伺いました。

大手不動産会社

RPAで業務効率化したい業務が最初からあったのではなく、将来の人手不足に備えてRPAの活用の可能性を検討したいと考えていた。RPAの検証として、適用可能な分野を社内で見つけ、RPAの適用を試みている。適用分野は、各部署からの応募やIT部門からの部門ヒアリングなどで探索したとのこと。そこでニーズが確認され、実践されたのが以下の2事例である。

事例1 経理部門での転記作業の効率化

これまでは、経費精算や取引先への支払依頼は申請システムを経由して経理担当に来ていた。最終的には基幹システムに申請内容を入力しなければならなかったが、申請内容が正しいのかの確認と、申請システムはWebで基幹システムは非Webでデータの受け渡しが容易でない、との理由から経理担当者が手作業で行っていた。

RPAを活用することにより、ルールに基づく自動チェックで申請内容の確認作業を自動化、データの受け渡しにおける問題もRPAツールの機能で解消することにより、手作業を自動処理に置き換えることができた。

RPAの事例1

 

事例2 メールからの転記作業の効率化

これまでは、外部法人からのサービス利用申請はメールで受け付けており、申請内容を手作業で転記してCSVに変換してシステムに登録していた。

RPAを活用することにより、メールをWeb上で開封して申請内容をエクセルに自動転記、その転記内容をCSVに変換してシステムに自動登録できるようになった。

RPAの事例2

 

気になる削減効果はどちらも1日30分程度とのことです。作業をしている担当者にとっては作業が楽になって嬉しいものの、RPAツールの費用や設定・運用の手間を考えると、投資対効果が高いとは言えないようです。

RPA推進者は「当初期待したほど、効率化が見込める業務が見つかっていない。自社の特徴として定型業務がさほど多くないかもしれない」とのコメントでした。今後見つかる可能性はあるのでしょうが、すぐにぱっと見つかる状況ではないようです。

大手食品メーカー

過去に何度か問題視されながらも、システム化の難しさに阻まれ非生産的な作業をいくつも残してきた。RPAツールであればシステムの壁も超えられると考え、2017年になって導入に着手した。

事例3 卸会社からの販売情報の転記作業の効率化

これまでは、約100社の卸会社からエクセルで送付される販売報告情報を手作業でエクセルに転記していた。エクセルの入力負担を軽減するために、フォーマットの統一化や入力ルールの厳密化に取り組んできたが卸会社がルールに則ってくれないという問題があった。また、転記後もデータ形式を確認しないと、正しくシステムに登録されない、という問題があった。

RPA導入により、卸会社の入力項目がずれていても、RPAが入力項目と入力内容を特定して転記してくれるので、手動での手入力削減が見込まれる。現在運用試験中のため、効果は未確定だが、5営業日かけて4人がかりで行っていた作業がほぼなくなる見込みとのこと。

RPAの事例3

 

事例4 基幹システムへの入力作業の効率化

これまでは、SAPの基幹システムへの入力において、担当する製品ごとに、購買情報、物流情報、在庫情報などを分けて入力する必要があり、月数十時間に及ぶ大きな手間となっていた。

RPA導入により、一括登録用のエクセルに自動転記され、基幹システムに登録されるので、大きな効率化が見込まれる。(現在、運用試験中のため効果は未確定)

RPAの事例4

大手システムインテグレーター

自社でRPAサービスを提供しており、ソリューション力を高めるためにも自社内での利用を促進しようとしていた。社内で検討した結果、手を付けやすく効果も期待できる経理の入力業務を最初の対象とした。

事例5 経費精算システムへの入力作業の効率化

これまでは、交際費や立替精算などの際には、紙媒体での申請書を経理が受け取り、OCRでデータファイルにした上で、手作業で申請内容の基幹システムへの入力やファイルの保管を行っていた。

RPA導入により、申請書のOCRから基幹システムへの転記、ファイルの保管まで自動化されるようになった。ただし、OCRの読み取りミスや転記ミスも起こりうるので、人手での確認作業は行っている。

RPAの事例7

 

本事例は、RPA導入により業務が効率された例であるが、それ以外でRPA活用が期待できる業務は探索中であるとのこと。大量の転記作業はどの部門もあるわけではないので、転記作業の効率化だけではそれほど拡がらないだろうとのこと。

大手システムインテグレーター

自社でもRPAサービスを提供しているので、社内でのRPAによる業務効率化をさらに加速させようとしていた。社内を見渡すと、人事・総務・経理などの管理部門は効率化の余地ありと判断し、効率化の余地が大きい所から着手している。

事例6 プロジェクト情報の転記作業の効率化

これまでは、手元のエクセル表を基に、プロジェクトの稼働が始まったら、案件情報、契約情報やアサイメント情報などをシステムごとに入力していた。登録するのはプロジェクトマネージャーなので、貴重な人材の時間を奪ってしまっていた。

RPA導入により、手元のエクセル表からWebのシステムに自動転記できるようにしたことで、入力の手間を大きく削減できた。
ただし、エクセル表の入力ミスやフォーマットにない情報の入力などで手間がゼロになったわけではない。

RPAの事例5

事例7 チャットボットと連携した回答探索

これまでは、出張費や保険手続きに関することなどが各部門より管理部に多くの問い合わせが来ていた。問い合わせの多くは、社内イントラネットに公開している規定集をみればわかるものであった。

RPAを導入して、チャットボットが問い合わせを受け付け、RPAで規定集の該当箇所を探索し、回答が記載されたURLを案内できるようにした。チャットボットでは文章を解析して回答しているので、回答違いも度々発生するが、問い合わせの半分以上はチャットボットで解決できるようになった。

RPAの事例6

所感

やはり多いのは「転記作業」の自動化です。中でも、基幹システムがSAPだとデータ入力やデータ連携の難易度が高いので手入力で我慢していたところ、RPAツールであれば解決できた、という事例がいくつも見られました。転記作業の削減は確実な成果が見込めそうです。

転記作業がたくさん残っている会社であればよいものの、1社目の事例のように「それほど定型作業が残っていない」という場合は、活用が限定される可能性がありそうです。費用対効果の面でも、RPAツールの導入と運用で年間100万円以上要するケースも多いため、少し楽になった程度だと取り組む価値ありとは言えなそうです。

事例6のチャットボットのように、AIとの組み合わせは用途拡大の契機になりそうです。

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