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内定承諾率が3倍に。 口説ける人材分析のHRアナリスト

2018.04.10 Tue

人事

HRアナリスト三角氏

目次

シングラー株式会社 代表取締役COOの三角勇紀さんに「HRアナリスト」についてお話を伺いました。

HRアナリストは人材採用において、応募者のアンケート結果分析を通じて、応募者と相性のよい面接官や面談ですべき会話等を指南することで、面談を通じた入社への動機づけを行い、内定承諾へと導くためのサービスです。

人材を口説けるという魅力的なサービスをどのような想いや狙いで開発・提供されているのかお話を伺ってきました。

 

代表取締役COO 三角勇紀さん
上智大学経済学部卒。モバイル広告代理店でシステム部の部門長として、広告効果測定システム・BIツール開発、人材採用などに従事。2015年よりフリーランスとして人事系システムの開発に従事する中、スタートアップ企業の執行役員(開発・採用・総務)を兼任。2016年11月にシングラー株式会社を設立。

 

――本日はよろしくお願いします。まずはHRアナリストの開発までの経緯を教えていただけないでしょうか。

シングラー株式会社は代表取締役CEOの熊谷とともに、人材採用のあり方を変革したいという想いで2016年11月に起業しました。当初は新卒採用向けの支援サービスを開発していたのですが、企業の人材採用の根本課題を考える中で、応募者をたくさん集めるよりも、応募者の入社確率を高める方が効率的な採用ができるのではないかと考えるようになりました。

人材難と言われるように採用の難易度が上がっている中で、企業が人材募集広告に予算を投下し続けるのには限界があると感じます。だとすると人材採用で大事なのは、人材募集よりも、応募者と企業が相互に理解を深める中で魅力を感じていただき、入社していただくことです。優秀な人事は相互理解による動機づけができていますので、そのベストプラクティスを作りたいと思い、HRアナリストを開発することにしました。

 

――口説くことにフォーカスしたサービスは他にあまりない気がしますが、開発に苦労されたことはあるのでしょうか?

サービス開発においては、技術的に優れるよりも、「採用現場のノウハウ」が盛り込まれて実践的に使えることを重視しました。

応募者を口説くためには、応募者がどのような特徴や人柄・行動特性の持ち主なのかを知り、その特性に合わせた動機づけを行う必要があります。優れた人事はどのように特性を把握し、動機づけているのか、その手法の体系化とサービスへの落とし込みに力を入れました。

優れた人事の手法については、代表取締役CEOの熊谷が人材コンサルタントとしての豊富な経験があるので体系化は進んだのですが、サービスへの落とし込み方では熊谷らとの議論を繰り返しました。

応募者の特性把握では、応募者に対して面談前にWebアンケート*への回答をお願いし、その回答内容に基づいて、8つの人材タイプに当てはめていきます。この当てはめの精度を高めるためにアンケート設計には工夫を重ねました。

例えば、単純に「これにあてはまりますか?」と聞くだけでは特徴が出てきません。そこで、「この業務の場面ではどのように行動するか、一番とりやすい行動と一番とりにくい行動を選んでください」というように、両端を聞くようにすると特徴が明確に出ることがわかりました。

このような工夫をした上で、心理学などの学術論文を用いて精度を高めていきました。

*Webアンケートは応募者がスマートフォン等で、10分程度でできる内容。アンケートは「評価するためでなく、あなたのことを知るため」と説明しているため、回答率は95%と高い。

アンケート回答画面

アンケート回答画面

 

応募者と面接官は対等であるべき

――そのようにして開発されたHRアナリストのこだわりを教えていただけないでしょうか。

最も大事にしているのは、「応募者と面接官は対等な関係であるべき」という考えです。人材採用で重要なのは応募者と面接官が相互理解をして納得して入社していただくことです。しかし、候補者にスキルがあるのか、自社とマッチしそうなのかを面接官が一方的に判断する「見極め型」の面談が多くなってしまっているのが実情です。切っていく採用ではなく、両者が対等に理解を深められるための仕組みを提供していきたいと考えます。

その仕組みとして大事なことの一つが、面接官が面談でどのようなことをすればよいか、具体的な「How(やり方)」を提示することです。応募者の特性をどう判断し、どう動機づけすべきかを理解している人事ならともかく、現場部門だとどのようにすべきかわからない、というケースが多くあります。

営業の現場では、相手を知るためのヒアリングは当たり前のように行われていますが、面談ではなかなかヒアリングができていません。その助けとして、適性検査結果を用いる会社もありますが、見方がわからずに使いこなせていないことが多いと感じます。

HRアナリストでは、面接官との相性、応募者が意思決定で重視すること、動機づけや見抜き方のポイント、相手に刺さることや会話の進め方等を具体的に提示するので、面接者はどう動けばよいかわかるようになります。

編集者補足:以下のように面談ですぐに使える情報を提示している。

  • 思考の特性、人柄・行動特性
  • 応募者のタイプは社内だと誰に近いかを示す「社内類似性」(パーソナリティと行動の観点で表示)
  • 応募者と相性の良い面接官・悪い面接官(この人は避けましょう、と相性の悪い人も表示)
  • 応募者が意思決定に重視する3つのポイント(例:1番に”企業文化”を重視)
  • 採用戦術(動機付けや見抜き方、何を言えば相手に刺さるか、会話の進め方等)
  • 採用後の相性の良いチームや人

 

レポート出力画面

応募者の分析結果画面

 

――対等な面談は応募者の好感度が高まりますね。HRアナリストのターゲットについて教えていただけないでしょうか。

これら3つが当てはまる企業がターゲットだと考えています。企業規模で言うと、従業員数が200人~1,000人くらいの企業が当てはまりやすいです。

  1. 採用面談は社長や人事ではなく現場で行われている。
  2. 人事が忙しくて現場をフォローできていない。
  3. 動機づけるためのノウハウが社内にない。

採用面談を社長や人事が行っていない会社では、現場がどのような面談を行っているのか、ブラックボックス化しているケースが多くあります。それなのに、人事が忙しくて現場をフォローできないとなると、応募者を口説くという認識も共有されませんし、動機づけに取り組もうとしても具体的なやり方がわからないと前に進みません。

そのような企業に対して、HRアナリストで支援していきたいと考えます。

 

内定承諾率が3倍に改善

――そのような企業での活用事例を教えていただけないでしょうか。

ある食品加工会社では、新卒採用で内定辞退者の続出に頭を悩ませていました。その会社では、人事が少人数のために面談調整で精一杯で、面談のやり方は現場部門に任せきりになっていました。現場部門では応募者に自社の魅力を伝えることや相互理解を意識的に行っていなかったため、内定を出しても動機づけが不十分で、結果的に、内定者8名のうち6名が内定辞退となってしまいました。

HRアナリストを導入した今年度は、学生が重視する意思決定のポイントと、それに対する口説き方を中心に、HRアナリストから出力した面談指示書を面談者に活用してもらいました。そうすることで、面談を通じて学生の動機づけがしっかり行われるようになり、結果として内定者6名に対して、入社が5名と大幅に内定辞退率を改善することができました。

また、ある人材紹介会社では、全国の各拠点で採用を行っている中、本社の人事部は各拠点の面接官を詳しく知らないのに面談調整をしていたために、応募者に適した面接官を調整できていない課題がありました。HRアナリストを導入してからは、応募者と面接官の相性を考慮した面談を組むようにしたことで互いの理解が深まり、採用選考中の辞退率の改善につながりました。

 

企業ごとに適したやり方で口説く力を高める

――このように成果を上げるためには、サービスを上手く使いこなすコツが何か必要なのでしょうか?

できるだけ使いこなすコツを不要にすることを目指しています。サービスの利用に習熟や工夫が必要になると、運用の負荷が増えて長続きしません。それよりも「これだけをやれば大丈夫」というように、誰でも一定レベルでできることが重要と考えます。

現在のHRアナリストのバージョンでは、面談指示書の全ての項目が出力されますが、情報が多いことがよいとは思っていません。企業ごとに必要とする情報だけを提示した方が、利用しやすくなると思います。例えば、候補者と面接官の相性を表示する機能は、面接を人事2名でこなしているケースでは代わりの面接官がいないので意味がありません。このケースでは、相性よりも、面談時に伝えるべきことなどに絞るべきと考えます。そのための機能は実装していく予定です。

 

――たしかに、情報が絞られている方が利用者は悩みませんよね。面談指示書の内容拡充もお考えなのでしょうか。

面談指示書では具体的にどうやるのかを記した方が面接官は助かると思いますので、設問例題を記して「これをヒアリングしてください」という方向性は考えています。また、設問例題を提示するだけでなく、その設問にどのように回答したのか、面接官がWeb上で記録できる機能も有用と考えます。

多くの面談では面談報告書を作成していると思いますが、選択式で面談中に入力できるくらいになると報告書作成の手間削減につながります。さらに選択式の回答ごとに数値を設定しておけば、報告書を読み込まなくとも定量的に一目でわかるようになる可能性があります。

 

――それ以外の今後の展望も教えていただけないでしょうか。

HRアナリストは採用時だけでなく、入社後の活躍も支援していきたいと考えます。例えば、どのチームや上司と相性がよいかがわかれば人事異動の参考になります。入社前の評価と採用後のパフォーマンスの関係がわかれば、採用時の面談の仕方の改善につなげることができます。

候補者からのフィードバックを面談に活かすことも考えられます。例えば、面談後に候補者へアンケート回答をお願いして、面談を通じてどれだけ動機づけられたかを聞くことができれば、面談指示書の改善につなげることができます。

また、企業ごとに欲しい人材の特性やスキルセットは異なりますので、Webアンケートの結果や面談後のフィードバックを蓄積・分析することで、企業の特徴に合わせた面談指示書を出力できるようにしていきたいと考えます。

人材採用の潮流は、面接官の一方的な見極め型から、応募者と面接官が対等な関係による相互理解型に向かっていると思いますので、時代の流れに合ったサービスとして発展させていきたいです。

――本日はありがとうございました。

 

所感

入社してもらうには口説きが重要で、そのために相互理解するというのは納得です。この意識が浸透していないケースが多いでしょうし、では口説いてくださいといっても個人差がとても大きそうなので、組織内の浸透や底上げにこのサービスは有効そうです。そして何よりも「優れた人事が自然としていること」を取り入れることができるのはサービス活用の醍醐味だと思います。

 

このサービスの紹介サイト

HRアナリスト

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