boaterはユーザーの本音で作った法人向けITサービス活用ガイド

  • TOP
  • 特集記事
  • カスタマーサポートの8割の質問回答を自動化。AIチャットボットのKarakuri

カスタマーサポートの8割の質問回答を自動化。AIチャットボットのKarakuri

2018.04.16 Mon

その他

Karakuri

目次

カラクリ株式会社 代表取締役の小田 志門さんに話を伺いました。

同社のKarakuri(カラクリ)は、カスタマーサポートに寄せられる質問の一部をチャットボットで自動的に回答することで、質問回答業務の軽減を図る、カスタマーサポートに特化したチャットボットです。

自動回答というと、回答の精度が気になりますが、AIを用いることでKarakuriは「正答率95%保証」を打ち出しており、カスタマーサポートを任せられる水準です。その精度の実現までの道のりや同社ならではの工夫等を伺ってきましたので、ご紹介します。

 

――本日はよろしくお願いします。まず、カスタマーサポート特化向けにチャットボットを開発することにした経緯について教えていただけないでしょうか。

カラクリ株式会社は取締役会長の麹池が、2016年10月に設立しました。最初はコンサルティング会社出身でコミュニケーションデザインを得意とする菊池と、東京大学大学院の博士課程に在籍してAIを研究していたCTOの中山が議論する中でAIを用いたチャットボットに注目していました。では、どの分野にチャットボットを活用しようかと思案していた際に、カスタマーサポート業務に知見がある私が議論に加わり、カスタマーサポート業界ではスタッフを採用できない問題がますます加速するので、AIで課題解決できるのではないか、という話をしました。

チャットボットをマーケティング目的に利用するケースは増えていますが、困った時やトラブル対応の解決手段として利用することも有効ではないかと考え、カスタマーサポート向けにAIを用いたチャットボットを開発することにしました。

 

――カスタマーサポートの中でもどのような場面での活用を考えたのでしょうか。

コールセンターへの簡単な問い合わせをチャットボットで代替することを狙っています。簡単な問い合わせとは、例えば、「パスワード忘れました」、「ログインできません」、「返品したいです」というものです。ただし、このような問い合わせは数が多く、問い合わせ対応時間の80%に及ぶこともあります。

コールセンター側もWebサイトにFAQを掲載して問い合わせを減らす努力をしていますが、問い合わせ前にFAQを見てもらえるとは限りませんし、回答を見つけようとしても検索しにくい等の問題もあり、問い合わせを減らしきれていません。

 

設計とAIトレーニングのこだわりで95%を実現

――簡単な問い合わせを回答していくKarakuriの特長を教えていただけないでしょうか。

「正答率95%」を保証しており、その実現のためにチャットボットの設計とAIのトレーニングにこだわっている点です。

設計面においては、問い合わせのうち、どの範囲で回答させるのか、そのためにどこにチャットボットを設置するのか、チャットボットが回答しやすい簡単な質問はどれか、ユーザーにとって回答が得られやすくなっているか等を検討していきます。

この際にカスタマーサポートの業務フロー全体を見渡した上で設計できるのは、カスタマーサポート業務に精通しているからこその強みだと考えます。また、Karakuriは複雑な質問は得意としておらず、一問一答で回答できる方が得意なので、95%の正答率を出せるのはどの範囲かは入念に定義していきます。

AIのトレーニングにおいては、実際に問い合わせがあった実データを用いてAIを学習させます。実データには、問い合わせならではの言い回しや口調等が反映されていますので、単に想定質問を文節に区切って辞書と照合して解析するだけの方式よりも高い精度を実現できていると考えます。

こうして設計し学習させたチャットボットに対して、言い回しを変えながらKarakuriの正答率が95%に到達するのか検証していきます。Karakuriは回答を自動生成するのではなく、あらかじめ用意した回答から適切な回答を選ぶ方式なので、正しく選択できたかで正答率を判断します。

なお、成果指標としては、正答率に加えて、カバー率も大切だと考えています。カバー率とは、質問に対して、用意した回答でどれだけ回答することができたのかを示す割合です。顧客導入の際には、この正答率とカバー率を合意した上で進めるようにしています。

 

Karakuri会話設計・トレーニング画面

会話設計やトレーニングの画面

 

Karakuri管理画面

チャットボットの管理画面

 

一問一答をFAQで多く持つBtoCネット系企業は相性抜群

――このような特長をもつKarakuriですが、ここに至るまでに何か苦労はあったのでしょうか。

AIの精度向上の点では、設計をしっかり行い、学習データの数を確保できれば向上させることができますので、それほどの苦労はありませんが、Webの管理画面の機能開発では、どのような機能を入れるべきか悩みました。最低限必要に絞る方針でしたので、最初は回答データの入力や会話シナリオの調整などができればよいと考えていましたが、ユーザーはチャットボットの回答内容や正答率等を見たいはずという意見もあり、レポート機能等は追加拡充することにしました。

営業面ではもう少し苦労がありました。当初は、Karakuriを月額9,800円という低価格にして、多くの企業に利用していただくことを想定していました。しかし、興味を持っていただく企業はあっても、業務にどう当てはめるかの検討、会話のシナリオ設計や教師データの準備などの実装が顧客側ではやり切れず、導入企業が想定よりも伸びませんでした。

そこで、実装はすべて当社が行う分、相応の費用をいただくという現在のプランに切り替えることにしました。反響も大きく得られることができ、導入検討企業も増えてきましたので、この方針に変更してよかったと思います。

 

――たしかに安く自分たちでやるよりも実装まで支援してもらった方が助かる企業が多そうですね。では、サービスのターゲットについて教えていただけないでしょうか。

次の条件に合致する企業をターゲットだと考えてます。

  • 質問数   :FAQの数が50~500の場合で、シンプルな質問や回答が多いこと。
  • チーム規模 :カスタマーサポートチームの人数が5名~100名。
  • 業界業種  :不向きはないが、より相性がよいのがBtoCのインターネット関連企業。

質問数については、FAQの数が多くても導入できますが、その場合はAIを二つに分けることも考えます。例えば、金融機関のカスタマーサポートでは、BtoB向けとBtoC向けの両方あると思いますが、質問内容や会話内容は、BtoBとBtoCでは大きく異なりますので、AIは二つに分けた方が、回答精度が高まります。

また、同じ質問でも回答が何種類もある場合は向いていません。例えば、株取引をキャンセルしたいという場合は、取引済みなのかこれからなのか等、顧客の状況に応じて回答が変わりますので、その場で自動回答するには不向きです。

業界業種については、インターネット上で顧客と対話できるチャネルがある方がチャットボットを利用しやすいです。BtoBでも活用可能性はありますが、問い合わせ数が少ないので、費用対効果の面ではどうしてもBtoCの方がより適しています。

 

――これらターゲット企業がKarakuriで成果を出すには、何かコツが必要になるのでしょうか。

顧客側にも専任の担当者がいると活用がスムーズになります。学習データを逐次追加した方がより回答精度が高まりますし、回答内容もキャンペーンの開始・終了などで文章を変更する必要がある場合が多いので、それらの担当者がいるとよいと思います。

 

AI導入の敷居はテクノロジーで下げていく

――インドネシアの企業との業務提携が発表されていました(2018/3/28)。どのような意図でグローバル展開を進めているでしょうか。

インドネシアのKata.ai社はアジア各国向けにチャットボットの開発プラットフォームを提供しています。多国に展開していく中で日本語処理を必要とする場面も増えていくと思いますので、当社の技術により日本語処理の実装を後押ししたいと考えています。

当社の自然言語処理エンジンは、日本国内に限定する意味はありませんのでこのように積極的に他国でも利用いただける機会を創出していきたいです。

 

――最後にグローバル展開以外の今後の展望を教えていただけないでしょうか。

現在は、導入時の設計や学習データの整備は人手で行っていますが、ある業界での知見やデータが溜まってきたら、その業界の他企業へその知見やデータを活かして導入できるようになりますので、より横展開が図れるようになると思います。

将来的には、設計やデータ作成までもAIで行えるようにして、人手を要せずに実装・運用できるようにしていきたいです。成果の出るチャットボットの実装をテクノロジーでより楽にしていくことを目指したいと考えます。

――本日はありがとうございました。

 

所感

たしかにカスターサポートはFAQに書いてあるレベルなのに同じ問い合わせがたくさんくる、というケースは多そうなので、チャットボットでどんどん代替していきましょう、といのは大いに発揮できそうです。正答率95%という挑戦は簡単ではないと思いますが、専門業務知識とAI学習力の裏打ちがあるからこそ。企業ニーズは強くありそうなので、今後の普及が楽しみです。

 

サービスの紹介サイト

Karakuri

このページの内容をシェアする

  • Facebook
  • LINE
  • Twitter