スクレイピングサービス8選。活用例や禁止事項、選び方を紹介
最終更新⽇:2024-03-07
幅広いデータを効率よく収集し、マーケティング戦略立案やサービス改善などに役立てたいと考えている方へ。スクレイピングサービスの概要やできること、費用相場、具体的な選び方、おすすめのスクレイピングサービスをご紹介します。
目次
スクレイピングサービスとは?
スクレイピングサービスとは、様々なWebサイトから取得した情報を、活用しやすい形に加工・整形するサービスです。専門知識に基づき著作権などに配慮したうえで、スクレイピングを実施します。スマホ専用サイトや画像、動画の収集に対応できるサービスもあります。
膨大なデータからSNSの評判や市場の状況、競合情報などを抽出し、情報収集に時間をかけずに、マーケティング戦略やサービス改善などに活用できる点が魅力です。
スクレイピングとクローリングとの違い
スクレイピングは、自社の指定条件で情報を収集し、加工・抽出まで行うことが目的です。一方のクローリングは、Webサイトを巡回して網羅的に情報を収集することが目的です。
クローリングで得た情報をスクレイピングで抽出するなど、両方の技術を併用しているサービスもあります。たとえば「ShtockData」や「クロールワン」では、Webサイトを定期的にクローリングし、必要な情報を収集して、活用しやすいフォーマットにそろえたり、指定したデータ形式に加工したりして納品してくれます。
スクレイピングサービスの活用事例
スクレイピングサービスの代表的な活用事例をいくつか紹介します。
1.最新情報の収集
スクレイピングサービスでは、ジャンルを問わずWeb上の幅広いデータから、最新情報をリアルタイムで収集できます。
たとえば、物件情報は流動的で、調査対象となるデータ量も膨大となるため、情報のキャッチアップや必要な項目を抽出したリスト化にはノウハウやスキル、手間もかかりますが、スクレイピングサービスを導入することで、従来1時間以上かかっていた作業を15分程度に短縮することも可能です。
また、価格比較サイトや企業のIRページ、ポータルサイトなど様々な記事やコンテンツからデータを取得して、市場の適正価格や話題などを正しく判断するといったシーンでも役立ちます。そのほか、ログインが必要なサイトや複雑な技術が使われたサイトのデータを抽出に対応するサービスも多く、卒論や研究レポートなど、正確性を必要とするデータ収集においても活用されています。
2.競合・市場調査
他社の商品価格をECサイトから読み取ったり実施中のキャンペーン情報を取得したりすることで、競合や市場の状況を把握し、製品開発やサービス改善、マーケティング戦略の策定に活用できます。
たとえば、希望エリアすべてのデータを定期的に収集し分析結果を可視化することで、地域特性に合わせた効果的なエリアマーケティングを実現したり、複数の競合サイトをスクレイピングして商品の平均価格を調べることで、市場ニーズを見極めた適切な値段設定をしたり、といった使い方がされています。
リサイクル店やオークションなど相場変動が激しい業界において、適正価格の把握が効率化されることで、査定時間を短縮できたという事例もあります。
3.営業リストの作成
Web上の企業情報を集めた営業リストも作成可能です。企業名や住所、メールアドレス、電話番号、問い合わせフォームなど、営業活動で使う情報を自動収集し業務を効率化できます。
サービスによっては特定の業種群などでも企業情報を抽出できるため、条件に応じた営業リストを自動作成できます。
4.ブランド保護・口コミ収集
ブランドの保護や口コミ収集にも利用できます。自社商標の無断利用の有無をチェックしたり、口コミを収集し製品開発やサービス改善に役立てたりできます。
画像情報も読み込んで、不正使用チェックの精度を向上させられるほか、サービスの風評監視においては、SNSやレビューサイトなどから、自社や競合の評判を収集し、サービス改善や商品企画の立案などにつなげられます。
スクレイピングサービスのできること
スクレイピングサービスができることを、4つのプロセスに分けて紹介します。
- Webクローリング
- スクレイピング(データ抽出)
- 通知・検知
- データ分析・活用支援
1.Webクローリング
様々なサイトやSNSなどをクローリングし必要な情報を収集します。スクレイピングサービスによって、クローリングできるサイトの種類や画像・PDFへの対応可否、クローリング規模などが異なるため確認しましょう。
たとえば「PigDateスクレイピングサービス」は、SNSやログイン必須ページ、海外のページ、スマホ専用サイトなど、特殊なWebサイトも含め幅広く情報を収集できます。
「AutoScraping」はOCR対応しているため、サイト内の画像や動画データのテキスト化が可能です。サイト以外に、PDFやExcelなど各種ファイル形式の情報も収集できます。
「ShtockDate」は、クローリング規模やタイミングを自社で設定可能です。オートスケーリング機能を使うと、最大数百単位のWebサイトをデータが必要なタイミングでクローリングし収集できます。クローリングの実施日時は「月・曜日・時間」など、自社の都合に合わせて設定可能です。
2.スクレイピング(データ抽出)
クローリングで抽出したデータは、指定の形式でデータベースに蓄積します。ツールによる抽出が多いですが、目視でデータ抽出するサービスもあります。「おまかせDATE入力」は、目視でのデータ抽出に特化したサービスです。「サイト内で表記揺れしている」「指定のサイトでスクレイピングが禁止されている」といったケースで活用できます。
また、「ShtockDate」のように、サイト内の画像やページのスクリーンショットを保存できるサービスも。「クロールワン」も、画像や動画などテキスト以外のデータ取得にも対応しています。
3.通知・検知
スクレイピングで抽出したデータを24時間体制で監視し、内容の変化を検知し通知してくれます。
「PigDateスクレイピングサービス」や「ShtockData」は、いずれもデータの検知・通知機能を搭載しています。たとえば、自社の指定キーワードが出現したり監視対象の数値(在庫数や商品価格など)が変化したりした際に、メールなどで通知可能です。
4.データ分析・活用支援
マーケティングや販促などの施策に利用しやすいよう、データを加工・整形してくれるサービスも多いです。用途に合わせたデータ形式やシステム連携に対応してもらえます。
たとえば「ShtockDate」は、抽出データをレポート形式で見える化したうえで、分析サポートも行います。「クロールワン」は、既存システムとの連携や、社内でのデータ分析に活用できるダッシュボード・ツールなどの構築サポートを行っています。分析手法のアドバイスも行っているため、自社の課題に合わせて収集すべき情報の中身や加工方法などを適切に判断可能です。
また、活用支援という側面では、自社の手間を減らせるかという部分も重要です。「おまかせDATE入力」は、収集した情報のExcel化やDM発送まで代行してくれるため、事務作業の手間を削減できます。
スクレイピングの禁止事項や注意点
スクレイピング自体に違法性はありません。なぜなら、スクレイピングの対象は「Web上ですでに公開されている情報」であり、それらを収集することに問題はないためです。実際、総務省も消費者物価指数の調査でスクレイピングを利用しています。
ただし、以下のような取り扱い方は禁止事項に該当するため要注意です。
- 利用規約でスクレイピングを禁止しているサイトからデータを抽出する(会員限定の閲覧ページなど)
- 過度なアクセスによりサーバーに過剰な負荷をかける
- 著作権を侵害する(取得したテキストや画像をそのまま自社サイトに掲載するなど)
- データ取得元の利益を損なう行為(取得したデータをそのまま第三者に譲渡するなど)
- 本人を特定できる個人情報を本人の許可なく取得する
- 不当な行為のためにデータを取得する
- そのほか、倫理違反になる行為
データ取得元を調査し上記の項目をすべてクリアして自社でスクレイピングを行うのは、ハードルが高いかもしれません。エンジニアが在籍しており技術的に可能だとしても、意図せず禁止事項に触れるリスクもあります。
スクレイピングサービスは、上記のようなリスクを回避する対策を行っているため、安心して任せられます。たとえば「PigDateスクレイピングサービス」は、スクレイピング作業をIT弁護士が監修。専門家の意見をもとに、安全性の高いスクレイピングを実施できます。
スクレイピングサービスのタイプ別の選び方
スクレイピングサービスの選び方は、データ収集の手法や対応範囲に応じていくつかのタイプに分けられます。
1.データ活用まで対応
BIツールとの連携や自社の既存システムへの組み込み、オリジナルツールの構築など、スクレイピングしたデータの活用まで対応しているタイプ。データ抽出後に分析手法を提案してもらったり、大規模にデータ収集したりしたい企業におすすめです。
たとえば「ShtockData」は、抽出データをBIツールと連携しデータを見える化したうえで分析まで行います。市場変化や競合他社との比較をビジュアライズされたデータでチェックし、具体的な手法まで提案してもらえる点が魅力です。
「エクスマートWEBスクレイピングサービス」は、定期的なデータ収集に加え、SEがヒアリングした内容をもとに業務システム開発まで行うプランも。自動で営業を仕掛ける管理システムや競合他社の商品情報に変更があった際の通知システムなど、幅広いニーズに対応可能です。
2.スクレイピング代行に特化
抽出データをスピーディーに整形して納品するタイプ。手間のかかるスクレイピング作業のみをアウトソーシングしたい企業におすすめです。
たとえば「Octoparse」は、最短3日以内に抽出データを納品できます。小売や飲食、教育など業界を問わず正確なデータを抽出してきた経験から、95%という高いリピート率を誇ります。また、アウトソーシングではなく、コーディング不要で自社でスクレイピングを行えるツールも提供しています。
「スクレイピングゴッド」は、経験豊富な専門のスクレイピングエンジニアがデータを抽出するサービスです。最短1日という超短期の納品にも対応しています。
3.目視によるデータ収集
プログラミングやソフトによるスクレイピングで対応しきれない情報を目視で収集するタイプ。より正確なデータ収集やスクレイピング禁止サイトから情報収集したい企業におすすめです。
「おまかせデータ入力」は、全国にいる大量のスタッフが目視で情報収集を行います。複数人で同時チェックするため、サイト上の表記揺れやテキストか画像かの判断などもスムーズに判別できます。
4.スクレイピング環境の構築
オーダーメイドのスクレイピングツールを作成してくれるタイプ。スクレイピングの頻度が高く、内製化したいものの既存ツールでは必要な情報を抽出できないため、専用のスクレイピングツールを構築してほしい場合におすすめです。
たとえば「AutoScraping」は、業界最安値クラスの50,000円〜オーダーメイドのスクレイピングツールを作成できます。データ取得元や抽出条件、外部サービスとの連携、レポート出力の有無など、スクレイピングに必要な機能を自社に合わせてカスタマイズ可能です。社内にSEなどの技術者がいなくても運用できる形で納品してくれます。
スクレイピングサービスの費用相場
データ収集の規模にもよりますが、単発であれば1回50,000〜10万円くらいが相場です。収集ページ数が多いと20万円くらいかかることもあります。継続的にスクレイピングを行う場合は、月額20,000円くらいからが利用できるところが多いです。
料金を公開しているサービスをいくつか紹介しますので、目安としてください。
サービス名 | 初期費用 | 料金 | サービス内容や備考 |
---|---|---|---|
クロールワン |
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PigDate | なし |
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スクレイピングゴッド | STANDARD: 12万円 |
STANDARD: 月額15,000円/サイト |
STANDARD: 1サイトのみ 5,000ページ以内 5〜10営業日で納品 任意の形式で納品 |
おまかせデータ入力 | 要問い合わせ | 20円〜/項目 | Webサイト上の会社情報や複数サイトに跨る特定情報を収集 |
上記のようにスクレイピングサービスの料金は「単発か継続か」「抽出したいページ数」「サイト構成」など、様々な要素で変動します。自社の予算や目的に応じて選びましょう。
おすすめのスクレイピングサービス(データ活用まで対応)
ShtockData(株式会社キーウォーカー)
(出所:ShtockData公式Webサイト)
Webクローリング市場で圧倒的な国内シェアを誇るサービス。大手企業やスタートアップ、行政機関など業界や企業規模を問わず選ばれている。拡張性に優れており、仮想サーバー技術と自動拡張機能により、大規模なデータ運用基盤を構築可能。
豊富な活用事例のもと、競合他社の商品情報やレビュー、プレスリリースなど幅広い情報を収集できる。画像取得機能が搭載されているため、ECサイトやSNSなどの商品画像をもとに、流行分析や商標の不正使用調査などにも役立つ。
また、収集したデータを見える化したうえで具体的な分析および提案につなげることで、マーケティング活動やDX化も促進してもらえる。
- 料金:要問い合わせ
クロールワン(アドブレイク株式会社)
(出所:クロールワン公式Webサイト)
スクレイピングによる商品調査や市場調査、営業リスト作成、顧客データ抽出などを通じて、企業の意思決定を加速させるサービス。リーズナブルな価格設定で、自社コストを削減しつつスクレイピングを導入できるのも強み。
抽出データをもとにしたBIツールの構築支援も行っており、社内体制に合わせたダッシュボードやツールの制作が可能。また、社内の課題を解消するために「どのようなデータを抽出すればよいのか」という点からアドバイスを実施。抽出データをもとにした課題への対応策や情報の加工方法まで具体的に指導してくれる。
- 料金:月額20,000円、初期費用10万円
PigData(株式会社インディゴデータ)
(出所:PigData公式Webサイト)
IT弁護士がスクレイピングデータを監修しているサービス。専門家が監修することで、スクレイピングによる偽計業務妨害罪や著作権法違反などへの抵触を防いでデータを抽出できる。会員専用ページやログインが必要なサイトなど、個人情報をより慎重に取り扱うべき場面で安心して任せられる点が魅力。そのほかにも、動画データや多言語サイト、スマホ専用サイトなど幅広いデータを収集できる。
また、BERTという自然言語処理の手法を導入することで、少ないデータ量で高品質なモデルの大量作成を実現。抽出データをチューニングすることで企業の要望に応じた活用ができるよう提案を行う。
- 料金:月額50,000円〜、単発10万円〜、初期費用は要問い合わせ
エクスマートWEBスクレイピングサービス(株式会社エクスマート)
(出所:エクスマートWEBスクレイピングサービス公式Webサイト)
導入実績500社以上、官公庁での利用実績も豊富なWebスクレイピングサービス。Webスクレイピング失敗検知やアクセスブロックといった、抽出角度を高める機能やサイト内の画像・動画を収集する機能など、豊富な機能を搭載。
営業リストの作成やマーケティング調査向きの単発プラン、定期的なデータ提供を行う運用プランに加え、システム開発まで行えるプランが。3つのプランから自社の状況に合わせたサービスを選択できる。開発プランでは、SEが希望のシステム内容をヒアリング。100以上の複数サイトから定期的にデータ収集しつつ、要望に沿った業務システムを開発してくれる。納品後のサイト更新を含めた保守対応も依頼可能。
- 料金:50,000円〜
おすすめのスクレイピングサービス(スクレイピング代行に特化)
Octoparse(Octopus Data Inc.)
(出所:Octoparse公式Webサイト)
世界中1,000社以上で利用されているWebデータ代行収集サービス。ログインが必要なサイトや複雑な技術が使われているサイトなど、様々な種類のデータを素早く抽出し、最短3日以内に納品できる。ECサイトや求人サイト、旅行予約サイト、金融関連のサイトなど、業界を問わず幅広い抽出に対応可能。
また、コーディング不要で使えるスクレイピングツールも提供しており、内製化したい場合にもおすすめ。スクレイピングの実行日時を自由にスケジューリングできるため、必要なタイミングで必要なだけ手軽にデータを取得できる。
- 料金:月額89ドル(スタンダードプラン)、初期費用は要問い合わせ
※ツールの場合。代行サービスは要問い合わせ
スクレイピングゴッド(株式会社2075)
(出所:スクレイピングゴッド公式Webサイト)
経験豊富な専門のスクレイピングエンジニアが多数在籍しており、競合調査や風評監視、AI学習データなど幅広い種類の情報を素早く収集できる代行サービス。最短1日で納品可能。
基本はデータ抽出がメインだが、企業の課題や要望に合わせたオーダーメイドのスクリプト開発にも対応しており、機能追加も依頼できる。「スピーディーにデータを抽出したい」というニーズに応えるだけでなく、企業の状況に合わせて柔軟な開発にも対応できる点が魅力。
- 料金:月額15,000円/サイト(STANDARDプラン)、初期費用12万円
おすすめのスクレイピングサービス(目視によるデータ収集)
おまかせデータ入力(株式会社誠勝)
(出所:おまかせデータ入力公式Webサイト)
目視でのデータ収集に特化したデータ収集代行サービス。「スクレイピングが禁止されているサイトの情報を集めたい」「特定の情報をピンポイントで収集してほしい」などの細かいニーズに応えてくれる。
全国のスタッフが複数人で同時にデータを目視チェックするため、ツールやソフトでは判別できない表記揺れや画像内の情報などを正確に収集可能。希望フォーマットをヒアリングした上で、納品形式の要望にも柔軟に対応。Excel化した上で、連絡先へDM発送を行うなどワンストップで代行できる点も特長。
- 料金:20円〜/項目、初期費用は要問い合わせ
おすすめのスクレイピングサービス(スクレイピング環境の構築)
AutoScraping(株式会社こうかはばつぐんだ)
(出所:AutoScraping公式Webサイト)
希望のデータ取得元や収集条件に応じて、オーダーメイドのスクレイピングツールを作成するサービス。スクレイピングに関する収集・分析・抽出をワンストップで提供。「貴金属の買取価格算出時間を短縮したい」「SNSのプレゼント企画に応募したユーザーを一覧化したい」など、幅広いニーズへの対応事例がある。
オーダーメイドにも関わらず、業界最安値クラスの50,000円から依頼可能。社内にITの専門技術者が在籍していなくても運用できるツールを納品してくれる。
- 料金:50,000円〜
まとめ
スクレイピングサービスは、膨大なWebサイトやSNSの中から必要なテキストデータや画像、ファイルなどを収集してくれます。スクレイピングサービスを活用することで、データ収集時間を短縮したうえで、市場調査やサービス改善など幅広い施策に役立てられます。
スクレイピングサービスを選ぶ際は、以下の4タイプの中から自社の目的に沿ったものを選択するとよいでしょう。
1.データ活用まで対応するタイプ
2.スクレイピング代行に特化したタイプ
3.目視によるデータ収集できるタイプ
4.スクレイピング環境の構築までできるタイプ
本記事で紹介したポイントをもとに、自社にマッチしそうなサービスを検討してみてください。