地域ブランディング会社11選。メリットや依頼できることは?
最終更新⽇:2024-08-05
観光客や企業の誘致、移住・定住の促進、特産品のPRなどを目指し、効果的に地域の魅力を発信したいと考えている方へ。地域ブランディング会社のメリットや依頼できることなどとともに、おすすめの会社を紹介します。
目次
地域ブランディング会社とは?
地域ブランディング会社とは、地域資源の発掘や課題解決、魅力発信などを手掛けている会社です。地域ブランディングを専門とする会社もありますが、PR会社やブランディング会社、マーケティング会社、コンサルティング会社などがサービスの一環として展開している場合が多くなっています。
地域ブランディングとは?
地域ブランディングとは、その地域にしかない魅力を引き出したり、抱えている課題を解決したりすることで、地域活性化につなげる取り組みのこと。観光客誘致や特産品の売り上げアップ、移住促進などの目的で行われています。
地域ブランディングの主体となるのは、地方自治体や観光地域づくり法人(DMO)など。実際にサービスを提供する法人(DMC)や、地域住民、関連する企業・団体と連携し、施策の立案から実施までを担います。
地域ブランディングの実績やノウハウが豊富な会社に依頼すれば、地域が抱える課題に対して効果的なアイデアの立案・実行が可能に。数年間かけて取り組むような長期的な施策や、事務局といった周辺業務のサポートも受けられます。
地域ブランディング会社のメリット
地域ブランディング会社に依頼するメリットとして、以下の3つが挙げられます。
地域での自走化
景観や食文化、歴史などの地域資源をブランド化・商品化する場合、ターゲット層への訴求は一度では不十分です。地域が主体となり、持続的なアプローチを行えるような基盤を整える必要があります。
地域ブランディング会社では、コンテンツの将来的な自走化を目指し、地域での組織づくりをサポート。連携している組織との役割分担を明確にしたり、コストを見直したりするほか、次世代のリーダー育成もフォローするなど、様々な角度から地域ブランディングの自走化を支援しています。
適切な協業パートナーの発掘・連携
地域ブランディングでは、地域活性化のプロや旅行会社、デザイナー、マーケター、補助金に関する専門家など、専門性の高い協業パートナーとの連携が欠かせません。
初めて地域ブランディングに取り組む場合、ノウハウやツテがないなど、自組織で協業パートナーの選定や調整をすべてこなすのは難しいもの。日本全国や海外の協業パートナーとのネットワークを有する地域ブランディング会社に依頼すれば、適切な専門家とのマッチングから連携までをサポートしてもらえます。
事務局の運営力強化
地域ブランディングをスムーズに進めるためには、事務作業や各種手続きを担う事務局が必要です。しかし、知識や経験がなく、事務局の運営に不安を抱えているケースも多いでしょう。地域ブランディング会社のなかには、事務局運営業務を代行しているところも。効果的な運営に関するノウハウを提供し、運営力強化につながる支援も受けられます。
地域ブランディング会社に依頼できること(依頼の流れ)
依頼の流れに沿って、地域ブランディング会社に依頼できる内容を紹介します。
1.方針策定支援
ヒアリングや現地調査などによって、地域が抱える課題や実情を把握。地域資源の発掘も行います。ブランド化したい地域資源が定まった後は、ターゲット層や提供したい価値などを検討。地域ブランディングに関係する住民や自治体、団体、企業などとも目線をあわせ、合意形成を図ります。
2.ブランド・商品開発
地域ブランディングの方針が定まったら、地域資源の発信に向けてコンセプトを設計。コンセプトを正確に伝えられるよう、細部まで言語化します。コンセプトの確定後は、ブランドや商品としてアイデアを具体化。必要に応じて専門家やクリエイター、旅行会社といった外部の協業パートナーとも連携して進めていきます。
そのほか、事務局の整備や施策に適した受け入れ体制を整えるなど、情報発信までの準備を行います。
3.プロモーション
WebサイトやSNS、イベントなどを通して、作り上げたブランドや商品をターゲット層に発信します。プロモーションは一度だけではなく継続的に行い、定期的にターゲット層との接点を創出。新たなファンの獲得や、認知拡大、施策に対する満足度アップにつなげます。
4.継続的なフォロー
取り組み内容の整理や、関係する組織・団体との役割調整のほか、次世代のリーダー育成、地域の人々とのコミュニケーションを図るプログラムなどを実施。地域の自走力を養い、よりよい施策の企画や展開が実現できるよう、長い目で見た支援を行います。
地域ブランディング会社のタイプ別の選び方
地域ブランディング会社は、対応している領域や強みによって、以下のタイプに分けられます。
1.方針策定支援からフォローまで対応
方針決めから継続的なフォローまで、ワンストップで提供するタイプ。地域資源の発掘、コンセプト設計、商品開発、プロモーションなど、幅広い業務に対応しています。「地域ブランディングの方針をイチから一緒に考えてほしい」「計画の実行も含めて長く伴走してほしい」と考えている場合におすすめです。
たとえば「株式会社地域ブランディング研究所」では、方針策定、商品開発、組織育成などをトータルでサポート。将来的には地域で自走することを目指し、事業を軌道に乗せる支援をしています。
「株式会社イースト」は、リサーチやマーケティング、計画立案、宣伝などを網羅的に支援。自治体や住民とのコミュニケーションに力を入れ、同じ目線に立ったうえで地域の課題解決を目指します。
2.プロモーションに強み
地域全体や特定のエリア・スポットならではの資源をアピールするといった、「場」に焦点を当てたプロモーションに長けているタイプ。動画撮影や編集、デザイン、キャッチコピー作りなどを行い、地域ブランディングを手掛けています。PR会社やメディアとも連携し、ターゲット層へ地域の魅力を届けたい場合に最適です。
たとえば「株式会社JTBコミュニケーションデザイン」では、クリエイティブやアートを起点とした地域ブランディングを展開。地域の魅力をキャラクターやキャッチコピーなどで具現化し、プロモーションを行っています。
「株式会社アッシュ」は、プロモーション動画やCM動画による地域ブランディングを提供。観光需要の拡大や移住・定住の促進、地域活性化などをサポートしています。
3.特定のブランディング手法に特化
自社で持つ強みやノウハウを活かした、特定の切り口でのブランディングに特化したタイプ。ブランディングしたいモノやイメージがある程度固まっている場合に適しています。
たとえば「株式会社オフィス内田」は、商品に特化した地域ブランディングを実施。地域の新たな名物を生み出すアドバイスをしたり、物産展で反響が出るコツをサポートしたりしています。
「株式会社ABC Cooking Studio」では、「食」を起点とした地域ブランディングを展開。地域の食材を活かしたレシピ開発や料理教室の開催などにより、地域活性化に貢献しています。
おすすめの地域ブランディング会社(方針策定支援からフォローまで対応)
地域ブランディング会社は、手掛ける領域や提携する協業パートナー、予算などによって料金が大きく異なります。料金の詳細は、各地域ブランディング会社へ問い合わせが必要です。
株式会社地域ブランディング研究所
(出所:株式会社地域ブランディング研究所公式Webサイト)
地域資源の発掘から方針策定、組織作り、人材育成などまで一貫して手掛けている、地域ブランディングに特化した会社。国の補助金や予算獲得の支援、海外旅行会社とのネットワークを活かした観光客誘致なども実施。事務局対応の経験も豊富なため、効率的かつ効果的な事務局運営のアドバイスも可能だ。
地域ブランディングの事例として、新潟県・燕三条エリアにおいて、特産品である銅器や洋食器の製造工場を見学する小規模ツアー開催をサポート。職人の本業に支障が出ないようにしつつ、地域と継続的に関わり、伝統を次世代につないでいく「関係人口」の増加に寄与した。
パドルデザインカンパニー株式会社
(出所:パドルデザインカンパニー株式会社公式Webサイト)
地場産業の活性化に向けた支援を行うブランディング会社。方針策定、コンセプトやブランドの開発、継続的なプロモーションなどをワンストップで提供。現地調査や地域住民との対話にも時間をかけ、地域に眠っている資源を発掘し、ブランドとしてデザインしている。プロモーションにおいては、Webサイト、SNS、動画・映像、紙媒体など、幅広い情報発信ツールをカバー。一貫したブランドイメージが伝わるように具現化している。
ほかにも地域ブランドを発信する機会として、各種イベントを複数回にわたって実施。その地域ならではの資源を継続的にアピールし、認知拡大を図っている。
株式会社ジェイアール東日本企画
(出所:株式会社ジェイアール東日本企画公式Webサイト)
地域の新たな価値創造や地域振興をサポートする、JR東日本グループの広告会社。地域ブランディングの事例として、富山県の世界遺産・五箇山エリアで、観光資源を活かしたサイクルツアーを造成。専門家を招いた現地でのヒアリングや、サイクルガイドの育成、地域の関係者へのワークショップを複数回重ね、文化体験も盛り込んだコンテンツを実現した。完成したコンテンツは、地域で自走して取り組みを続けられるようにサポートも行っている。
ほかにも、海外に向けて地域の魅力を発信するPRイベントの企画・実施や、地域活性化のノウハウを集めたプラットフォーム「チームiCHi」の運営なども取り組んでいる。
グラムコ株式会社
(出所:グラムコ株式会社公式Webサイト)
地域資源のリサーチや分析、ブランドコンセプト・商品の開発、Webサイトの構築を含む広報活動などを提供するブランディング会社。「モノ」を起点に地域をブランド化する手法と、町全体などの「場」をブランド化する手法のどちらにも対応している。
モノを起点とした地域ブランディング事例としては、長崎県における新品種ビワのブランド化、山形県鮭川村のキャンプ場や自然体験ができる施設を備える「木の子の森」の開発などが挙げられる。また、東京都大田区では、優れた技術を持つ中小規模工場が多いことに目を向け、町全体のブランド化を実施。個性が集結し、新たな価値を生み出す「大田ブランド」としてPRした実績を持つ。
ミテモ株式会社
(出所:ミテモ株式会社公式Webサイト)
地域の人口減少に歯止めをかけるため、地域ブランディングに取り組んでいる会社。地域イメージの向上、来訪者の増加につながる支援、移住や定住の促進などを行っている。
たとえば、デザインやマーケティングの専門家と協力し、中小企業の独自技術や地域資源を活かしたブランド開発を実施。地域経済の活性化や事業者の自走支援、付加価値の高い事業創出などを手掛けた。名古屋ではこの取り組みが「FUXION(フュージョン)プロジェクト」として発展し、中小企業に新たなブランドを生み出す支援をしている。
オフィスカナン株式会社
(出所:オフィスカナン株式会社公式Webサイト)
青森県内や東京都の自治体・企業を中心に、地域ブランディングを展開している会社。市区町村独自の資源を発掘し、認知拡大のためのブランディングやプロモーションなどを手掛けている。国勢調査や商業統計などのデータを使った、マーケティング調査も依頼可能だ。
「総合プロデュース(コンサルティング)」サービスでは、地域活性化や人流の創出、価値向上を目指した解決策を提案。自治体や地域の事業者とコミュニケーションを重ね、具体的な方針策定へのアドバイスを行っている。
株式会社イースト
(出所:株式会社イースト公式Webサイト)
150以上の商業施設の運営に携わったノウハウを活かし、地域ブランディングを支援している会社。地域資源発掘に向けたリサーチから方針の策定、プロモーション、事務局運営までワンストップで実施している。たとえば熊本県山鹿市では、熊本ワインを起点とした農業振興・観光拠点創出をサポート。ワイン醸造所や地産ショップ、販売型施設、観光連携施設などを包括的にプロデュースした事例を持つ。
また、地方創生・地域の魅力再発見を伝えるメディア「Discover Japan」と共同で地域ブランディング協会を立ち上げ、クリエイターや有識者とも提携しながら、ブランディングやワークショップなどを手掛けている。
おすすめの地域ブランディング会社(プロモーションに強み)
株式会社JTBコミュニケーションデザイン
(出所:株式会社JTBコミュニケーションデザイン公式Webサイト)
地域活性プロモーションや地域ブランディングの総合プロデュースを手掛けている会社。「ツーリズム」分野を中心にクリエイティブを起点とした取り組みに強みを持ち、地域の魅力を顕在化させ、最適なメディアで展開している。
たとえば、北海道斜里郡斜里町では、ローカルキャラクターを中心とした「知床ブランディング」を実施。知床の多様なイメージを宣伝するほか、キャラクターをグッズやイベントに活用し、新たな収益事業を創出。人々とのコミュニケーションと収益化の両面から、地域で自走できるブランディングをサポートしている。そのほか、鉄道・沿線のよさを伝えるクリエイティブ制作やイベントを実施した事例も。
株式会社アッシュ
(出所:株式会社アッシュ公式Webサイト)
映像・動画といったクリエイティブの企画・制作を軸に、地域ブランディングを行っている会社。地域の特性や価値をクリエイティブによって可視化し、観光需要の拡大や魅力向上に向けた情報発信をサポートしている。
手掛けた事例として、たとえば和歌山県有田郡広川町の観光PR動画では、四季折々の風景や、ふるさとの温もりを感じる映像を制作。日本遺産に登録されている防災遺産「百世の安堵」だけに留まらない、広川町の魅力を発信した。
全省庁の入札に参加するための資格「全省庁統一資格」を取得している。
おすすめの地域ブランディング会社(特定のブランディング手法に特化)
株式会社オフィス内田
(出所:株式会社オフィス内田公式Webサイト)
商品を軸とした地域ブランディングに強みを持つ会社。「売れる商品づくり」と「売れる仕掛づくり」によって、地域の魅力を広めている。商品の特性にあわせたプロモーション設計、ECサイトの整備、商品PV制作などに関するアドバイスも可能だ。自治体や行政と協力したイベント、商談会の企画・運営など、生産者と企業をつなぐ機会も提供している。
消費者目線を重視した商品開発も手掛け、地域が売りたいと思っている商品と、実際に売れる商品の溝を埋めるようなサポートを行っている。
株式会社ABC Cooking Studio
(出所:株式会社ABC Cooking Studio公式Webサイト)
料理教室の「ABCクッキングスタジオ」が提供する、「食」を起点にした地域ブランディングサービス。特産品を使ったレシピの開発によって地域の魅力を発信するほか、料理教室の運営サポートやコンサルティングを行っている。
たとえば、石川県七尾市では「里山里海キッチンsupported by ABC Cooking Studio」をオープンし、食育教室や地元企業とのコラボレッスンなどを実施。地産地消の推進や、地域の新たなコミュニティづくりに寄与している。
ほかにも、海外のABCクッキングスタジオと連携したプロモーションも展開。日本製品の輸出促進支援やインバウンドを誘致する取り組みも手掛けている。
まとめ
観光客や移住者の誘致、特産品の売り上げ向上などを目的に、地域特有の魅力の発見や課題解決をすることで、地域活性化につなげる地域ブランディング。豊富な経験・ノウハウを持つ地域ブランディング会社に依頼すれば、「方針策定支援」「ブランド・商品開発」「プロモーション」「継続的なフォロー」など、必要に応じたサポートを受けられます。
また、地域ブランディング会社に依頼することで、地域での自走化や、適切な協業パートナーの発掘・連携、事務局の運営力強化といったメリットも期待できます。
地域ブランディング会社は対応範囲や強みを持つ領域によって、以下のタイプに分けられます。
- 方針策定支援からフォローまで対応
- プロモーションに強み
- 特定のブランディング手法に特化
「どの工程を依頼したいか」「どのような方向性で地域ブランディングを行いたいか」などを踏まえて、地域ブランディング会社を検討してください。