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年末調整代行サービス比較8選。費用やできること、注意点は?

最終更新⽇:2023-11-21

年末調整代行サービス比較8選。費用やできること、注意点は?

年末調整の負担を軽減したい経理部門の方へ。業務負担は大きい一方で、期間限定かつ短期間の作業になるため、人材の増員は困難です。年末調整にまつわる様々な課題の解決に役立つのが、年末調整代行サービスです。こちらの記事では、サービスの概要やタイプ、比較ポイントなどについて詳しくご紹介します。

年末調整代行サービスとは?

年末調整代行サービスとは、企業が毎年12月頃に実施する年末調整の業務を代行してくれるサービスのことです。

年末調整は、毎月の給与計算で算出している概算の源泉所得税を計算し直す作業です。生命保険控除や住宅ローンといった各種の控除を考慮し、源泉所得税の過不足に応じて追加徴収あるいは還付することになります。

1月1日から12月31日に支払われた給与を基準にするため、毎年12月頃に年末調整をすることが一般的です。そのため、経理部門は12月頃の業務負担が大幅に増えます。こうした課題の打ち手になるのが、年末調整代行サービスです。文字通り、年末調整を代行してくれるため、一時的に発生する作業負担や残業代を削減できます。

また、年末調整には所得税法や地方税法、各種の社会保険法など複数の法律が関連します。仮に法改正があった場合には、年末調整の記載内容や提出事項が変わることがあります。限られた期間に実施する作業とあって、ルールの変更を把握しきれていなかったり、対応できなかったりするとトラブルに発展しかねません。

その点についても、年末調整代行サービスでは、専門のスタッフが実施・対応してくれるケースが多いため安心です。社内の限られた人員で実施する年末調整と異なり、計算ミスや法改正のキャッチアップもれなどのヒューマンエラーを減らせます。

年末調整代行サービスでできること

年末調整代行サービスでは、主に以下の5つの作業の代行を担っています。

1.システムへのデータ入力(連携)

自社の人事労務システムや代行サービスが提供するシステムに、年末調整に必要な事業所や従業員の情報の入力(あるいは連携)を代行してくれます。年末調整の準備段階からサポートしてくれるため、負担軽減効果が大きいです。

2.対象者の確定

従業員の中から年末調整の対象者を確定し、それぞれに対して告知・案内を進めるためのメールアドレスを収集してくれます。社員への個別対応が不要となり、自社内での取りまとめの手間なく進めることができます。

3.年末調整の案内と書類の回収

対象となる従業員に対して年末調整に必要な申告書類の案内や、各種の控除証明書の原本回収を代行してくれるサービスもあります。

4.申告内容の読み取り・確認・訂正

従業員から提出された証明書等を読み取り、データ化する工程を代行してくれます。サービスによりますが、AI OCRや手作業、またはその併用でチェックするなど、ヒューマンエラーを極力無くせる体制が特長です。

5.申告データの納品

年末調整に必要なデータの整備、システムに反映できる形式に加工、最終的な申告データの納品までを請け負ってくれます。納品されたデータを利用するだけで年末調整を済ませられるため、経理部署の負担を大幅に軽減できます。

年末調整代行サービスの費用目安

年末調整代行サービスは、利用人数や対応範囲に応じて費用に幅があります。費用計算は多くのサービスで、「サービス基本利用料」「年末調整対象者一人当たりに発生する従量制の利用料」「オプションサービスによる追加費用」で構成されています。

費用はケースバイケースで決まりますが、一つの例として以下の計算で費用の目安を把握できます。

たとえば、日本アウトソーシングセンターが提供しているサービスの場合、代行の内容に「年末調整システムの環境設定」「メール問合わせ対応」「申告内容チェックと承認」「差戻し作業」「データ作成」まで含め、一人当たり約1,200円が目安。

一方、NTTビジネスソリューションズでは、基本料金と処理料金に分かれて設定。従業員499名までの場合、基本料金29万円、処理料金は一人当たり780円です。

どこまでの作業を代行してもらうかによって費用が異なったり、オプション費用が発生したりするため、具体的な業務内容を踏まえて試算することをおすすめします。

年末調整代行サービスの注意点

年末調整代行サービスを利用するうえで、注意すべき点がいくつかあります。主に以下の3点です。

1.税理士や社労士への年末調整の依頼について

年末調整の業務の中には、税理士の独占業務が存在します。税理士の独占業務には「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」がありますが、年末調整は税務書類の作成、税務相談が含まれています。そのため原則的に税理士以外が行うと違法になります。税理士ではなく社労士に年末調整を依頼したとしても、年末調整のすべての処理ができないため注意が必要です。

ただし、年末調整に必要な書類を回収する、チェックする、書類をデータ化するといった業務は税理士の独占業務にはあたりません。年末調整代行サービスを利用する際にも、どの業務を依頼するか明確にして、税理士が介在する業務をどこが担当するのか把握しておく必要があります。

なお、社労士については、年末調整に必要な給与または社会保険料の算定、書類をチェックするなど、税理士の独占業務に該当しない業務であれば問題ありません。

2.各種証明書の原本確認について

年末調整の際、各種の控除証明書を提出する必要があることが所得税法で明記されていますが、これらの書類は電子データではなく原則、紙の原本を提出する決まりがあります。これは、電子化されたデータは電子署名や電子証明書の要件を満たさないとされているからです。

そのため、年末調整代行サービスを利用する際にも、従業員から証明書の原本を回収する必要があります。法令上の要件のため、多くのサービスで原本確認に関する内容は明記されていますが、証明書原本の回収方法がサービス内容に組み込まれているか、社内で取りまとめるのかをあらかじめ理解しておきましょう。

3.サービス申し込みの時期について

年末調整の処理業務は主に12月に実施しますが、多くのサービスで申込期限が7月末までなど、半年近く前から動き出す必要があります。これはサービス利用にあたって、必要な情報の取りまとめや従業員のメールアドレスの収集といった準備が必要となるためです。

7月に申し込みの後、準備を経て10月からサービスを開始する、といったスケジュールを組み立てることになります。年末が近くなってからサービスを検討しても間に合わないため、事前に導入を議論し、準備を進めていくことが必要です。

年末調整代行サービスのタイプ

年末調整代行サービスは大きく3つのタイプに分類できます。自社の運用に適したタイプを検討すると良いでしょう。

1.専用システムを提供するタイプ

独自のシステムを活用して、そのシステム上で従業員がデータ入力や書類をアップロードできるタイプです。利用するシステムが決まっており、申請手順もシンプルなため、年末調整業務全体をスムーズに依頼、導入したい場合に適しています。

たとえば、NTTビジネスソリューションズでは指定サービス使用時、年末調整に必要な証明書類を写真に撮ってアップロードする、扶養関係は簡単な質問に回答するだけで申請を進めることができます。「Mominoki」はMominokiクラウドのアカウントを従業員ごとに登録し、情報の入力や証明書の読み取りを実施できます。

2.Webシステムの運用代行をするタイプ

各種Webシステムの運用を代行しながら年末調整業務を進めてくれるタイプです。利用するシステムの提案から代行してくれるサービスや、システムが決まっているサービスもあります。

たとえば、日本アウトソーシングセンターでは、人事労務クラウドシステム「オフィスステーション」で運用。PC、スマホ、タブレット端末などのマルチデバイスを使った提出ができるようになっています。

また、NMPスペシャリストは、自社に適したWeb申告システムの提案からスタートするため、これからWeb申告に切り替えたい場合に便利です。

3.部分導入に強みのあるタイプ

「年末調整の申告書・証明書のチェック」や「データの入力」など、年末調整業務の一部を切り取り、アウトソーシングができるタイプです。ピンポイントに業務人員が必要な場合、こちらのタイプが適しています。

たとえば、BODは、年末調整業務の準備からデータ納品までの全工程はもちろん、一部の業務内容のみ代行など、柔軟な対応が魅力です。

また、フルキャストでも年末調整業務の前工程・本工程・後工程の委託内容がカスタマイズでき、システムの導入なしでサービスを受けられる点がメリットです。

ほかにも、キュービーファイブでは年末調整アウトソーシングに加え、社内での書類作成や問い合わせに対応できる「年末調整チャットボット」も提供しているため、社内業務の効率化が期待できます。

年末調整代行サービスの比較ポイント

年末調整代行サービスのタイプを理解したうえで、導入時のポイントとして以下の3点を意識すると良いでしょう。

1.サービス対応範囲

申告内容のチェックや従業員からの問い合わせ対応など、依頼したい業務に対応できるのか確認しておきましょう。依頼したい内容が基本サービスに含まれているのか、オプション対応となるのかで費用面にも差が出てきます。また申告書の発送やファイリングといった、紙ベースの書類を扱う工程の取り扱いがあるか確認しておくと、社内での業務負担軽減にもつながります。

たとえば、BODなら、Web年末調整と書面運用の年末調整、またはその併用運用が選択でき、委託内容も全工程から一部工程の選択まで幅広く対応しています。

2.対応規模

年末調整の対象人数が多い場合、大規模対応しているのか、逆に一人から手軽に使うことができるのか、対応している規模を確認しておきましょう。

たとえば、「Mominoki」は、概ね1,000名以上の従業員を持つ企業の年末調整業務を念頭に置いて設計されています。NTTビジネスソリューションズでは9,999名まで料金表をもとにして対応でき、1万名以上となる場合は個別に対応しています。かたや「経理・記帳代行サポートオフィス」は、50〜1,000名までを想定しており、小規模で1名から対応することも可能となっています。

3.運用方法の柔軟性

会社の規模や従業員の年齢層によって、効率の良い方法が異なる場合があります。Webによる年末調整だけでなく、「紙での実施にも対応しているか」「申請や情報の入力はスマホでも対応可能になっているか」など、運用の柔軟性を確認しておくと良いでしょう。スムーズな運用が期待できる方法が選べると、導入時の説明にかかる負担を軽くできます。

たとえば、NTTビジネスソリューションズは、自社のフローに合わせて運用方法をカスタマイズできます。

主な年末調整代行サービス(専用システムを提供するタイプ)

年末調整業務アウトソーシング(NTTビジネスソリューションズ株式会社)

年末調整業務アウトソーシング公式Webサイト

(出所:年末調整業務アウトソーシング公式Webサイト)

NTTグループをはじめとする32万人の利用実績がある年末調整アウトソーシングサービス。従業員数、業種を問わず対応しており指定サービス利用の場合はスマホで申請書類を撮影、送信するだけで年末調整を進められるので、作業工数を大幅に削減可能。
申請内容の確認や社印への訂正依頼を代行してくれるので、社内業務の手間とミスを減らせることがメリット。自社の業務仕様やアウトソーシングしたい箇所を個別に対応、カスタマイズできる点も魅力。7月末までの申込で利用でき、サービスの開始は10月からとなっている。

  • 料金:基本料金29万円、処理料金780円/人(499名まで)

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Mominoki(ラクラス株式会社)

Mominoki公式Webサイト

(出所:Mominoki公式Webサイト)

年次業務を行う人材の確保を解決する年末調整クラウド+BPOサービス。従業員や拠点が多い大企業の利用を想定した機能とサービスが充実している。証明書原本の収集から読み取り、申告データ作成までBPOで代行。AI、OCR、人間の目視を組み合わせることで高速かつ正確な読み取りを実現。
紙の申告書にも対応しており、コンタクトセンター設置によって従業員からの問い合わせにも対応してくれる。企業グループ全体での利用を想定し、管理者権限、進捗閲覧権限、責任者権限など、担当者ごとに設定できる点も便利。利用については8月末までに契約し、準備を進めていく想定のサービスとなっている。

  • 料金:要問い合わせ

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主な年末調整代行サービス(Webシステム運用代行タイプ)

年末調整サービス(株式会社日本アウトソーシングセンター)

年末調整サービス公式Webサイト

(出所:年末調整サービス公式Webサイト)

紙の作業が不要で、担当者の窓口業務からの脱却が期待できる年末調整アウトソーシングサービス。人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」をベースとして運用しており、年末調整対象者はPC、スマホ、タブレット端末などのマルチデバイスから、いつでもどこでも提出が可能。
前年度の年末調整情報を事前に取り込むことができるため、余計な入力を削減できるなど、入力業務の簡略化が特長。控除対象の自動判定や控除額の自動計算にも対応している。総務担当者は業務申告状況をパーセンテージ表示で把握でき、収集状況がリアルタイムで把握できわかりやすい点も魅力。サービス導入にあたっては7月から9月で契約を行い、10月から運用開始の想定。

  • 料金:最大1,200円/人(スタンダードプラン)

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年末調整代行サービス(株式会社NMPスペシャリスト)

年末調整代行サービス公式Webサイト

(出所:年末調整代行サービス公式Webサイト)

スタートアップ企業から10,000人を超える大手企業まで、従業員数を問わず対応可能な年末調整代行サービス。Web申告と紙による申告の両方に対応。Web申告の場合は自社に適したWeb申告システムの提案からスタートし、自社の環境に合わせた最適解を提示してくれる。紙の申告からWebに切り替えたい場合にも適している。年末調整業務は事前準備から検査、納品まで一連の経理手続きを任せることができ、コア業務に専念できる点も魅力。

  • 料金:要問い合わせ

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経理・記帳代行サポートオフィス(株式会社YFPクレアコンサルティング)

経理・記帳代行サポートオフィス公式Webサイト

(出所:経理・記帳代行サポートオフィス公式Webサイト)

70名を超える税理士法人YFPクレア・YFPクレア社労士事務所と提携した対応が魅力の年末調整代行サービス。50~1,000名までの従業員数を想定した代行サービスだが、1名からの申込にも対応。給与計算代行サービスを併用すれば年末調整代行は基本料金不要、ワンストップで利用できる点が特長。
クラウド会計freee、MFクラウド会計、弥生オンラインなどのクラウドの会計ソフトや、クラウドの給与計算ソフト、クラウド版の勤怠管理システムなども対応しており、自社で利用している会計システムを活用できるところも嬉しい。

  • 料金:基本料金20,000円/回+2,000円〜/人(1~10人の場合)

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主な年末調整代行サービス(部分導入に強みのあるタイプ)

年末調整代行サービス(株式会社BOD)

年末調整代行サービス公式Webサイト

(出所:年末調整代行サービス公式Webサイト)

総合アウトソーシング企業BODが提供している年末調整代行サービス。Webでの運用や書面での運用、Webと書面の併用運用も対応しており、年末調整業務の準備(前工程)、申告書等の回収やデータ入力(本工程)、データ加工やファイリング(後工程)のすべての代行から、一部の業務のみ切り取った代行まで柔軟に対応している。コールセンターの設置により従業員への督促や不備連絡の代行もスムーズで、電話・メール・システムのチャット機能といったチャネルも豊富に用意されている。

  • 料金:要問い合わせ

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年末調整代行サービス(株式会社フルキャスト)

年末調整代行サービス公式Webサイト

(出所:年末調整代行サービス公式Webサイト)

人材派遣・人材紹介企業のフルキャストが提供している年末調整業務のBPOサービス。フルキャストの人材サービス・BPOサービスで取引している企業に対して多くの利用実績があり、10,000人以上の大規模企業にも対応している。
申告書の郵送・回収方法は、自社のやり方に合わせることができ、Web申告と紙の申告の両方に対応。システム導入の必要がなく、希望のフォーマットでデータを受け取れる点がメリット。前工程・本工程・後工程の委託内容はカスタマイズできるので、予算や業務量を踏まえたうえでの活用がしやすい。最短3週間で代行業務を開始することができるスピード感も魅力の一つ。

  • 料金:要問い合わせ

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年末調整アウトソーシング(株式会社キュービーファイブ)

年末調整アウトソーシング公式Webサイト

(出所:年末調整アウトソーシング公式Webサイト)

人事・給与計算のフルアウトソーシングをおこなっているキュービーファイブの年末調整アウトソーシングサービス。年末調整業務のスポット代行を中心に行い、年末調整期間の場所や作業スタッフの手配、年末調整書類の印刷・発送にかかる資材の確保まですべて代行可能。年末調整の業務人員の手配や教育、作業管理、納品まで委託できる点も嬉しい。
年末調整専用コールセンターを開設しており、従業員からの問い合わせにも専門スタッフが柔軟に対応してくれる。また、関連サービスとして「年末調整チャットボット」も提供しており、社内での書類記載手順や問い合わせを自動で対応でき、社内の業務効率を上げる工夫ができるところも特長。

  • 料金:要問い合わせ

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まとめ

年末調整は年1回だけの業務ですが、扱う内容が幅広く、記載もれや書類不備も頻繁に発生するため、担当者の負担はかなり大きくなります。年末調整代行サービスは、年末調整業務に特化しているため、年末の業務量の軽量化を図り、スムーズに年末調整処理を進めにはうってつけです。

紙による申告からWeb申告への切り替えなど、代行サービスの利用によってより効率の良い方法を検討・実行できる点も導入のメリットです。人数や会社規模による対応可否、全体の委託または一部の委託など、自社の状況にマッチしたサービスを選んで、年末の業務改善を実現してみてください。

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