助成金申請代行比較10選。種類や依頼できる範囲・費用は?
最終更新⽇:2023-11-21
助成金を受給するために申請代行サービスを検討している方へ。助成金の基礎情報や、申請を専門家に代行してもらうメリット、費用相場、依頼先を決める際の判断基準とあわせておすすめの助成金申請代行サービスを紹介します。
目次
助成金申請代行とは?
「助成金」という言葉は聞いたことがあっても、その種類や自社が受けられる助成金がよくわからないまま、制度をうまく活用できていない企業は多いのではないでしょうか。
助成金申請代行とは、専門的な知識と資格を持った社会保険労務士(社労士)に助成金の申請を代行してもらうこと。経験豊富な専門家に任せることで、手間と時間をかけることなく正しい申請が行えるように。受給の確実性を高められるとともに、最新の制度に基づいた、自社にとって最適な助成金の提案も受けられます。
助成金と補助金の違い
いずれも事業者の新規事業のサポートや雇用環境の整備など、国の政策に沿った活動に対して支給される支援金です。多くの場合、返済が不要。両者の主な違いは、以下の通りです。
なお、補助金は、国家資格を保有しないコンサルタントなどでも申請代行が可能であることに対して、助成金の申請代行ができるのは国家資格である社労士の資格保有者のみ(一部の助成金を除く)となっている点も、大きな違いです。
目的 | 助成金 | 雇用増加や労働環境の整備・改善支援(主に厚生労働省の管轄) |
---|---|---|
補助金 | 新規事業の立ち上げや研究開発支援(主に経済産業省の管轄) | |
審査難易度助成金条件を満たした上で申請すれば、ほぼ必ず受給できる | ||
補助金 | コンペ形式のため、申請しても受給できない場合がある | |
支給額助成金制度ごとに異なるが、おおむね数十万円、多くても100万円程度 | ||
補助金 | 事業内容・規模などにより異なるが、数百万円以上〜数億円というケースも | |
募集期間助成金通年(長期間) | ||
補助金 | 年に数回、1週間〜1カ月程度の公募期間が一般的 |
助成金の一例
助成金には、上記の目的に向けた、人材定着やスキルアップ、採用など様々な取り組みに対するものがあります。こちらでは、その一例をご紹介します。
人材雇用の助成金 | 職業経験の不足などから就職が困難な求職者などを、無期雇用契約へ移行することを前提に、一定期間試行雇用(トライアル雇用)を行う事業主に対して支給 |
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雇用維持の助成金 | 経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対し、雇用の維持を図るための休業・教育訓練・出向に要した費用を助成 |
創業をサポートする助成金 | 「創業スタートアップ助成事業(杉並区の場合。自治体による)」 安定的かつ持続的な経営に取り組む事業者を支え、区内における産業を促進するために、創業当初に必要な経費の一部を支援 |
新しい制度を取り入れるための助成金 | 「DXリスキリング助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)」 中小企業等が従業員に対し、民間の教育機関等が提供するデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する職業訓練を集合またはeラーニング等で実施した際の経費の一部を助成 |
労働環境整備の助成金 | 都内事業所に所属の常時雇用する労働者を対象に、在宅勤務・モバイル勤務等を可能とするテレワーク機器・ソフトウェアなどのテレワーク環境整備に係る経費を助成 |
中高齢者の雇用を支える 助成金 |
60〜64歳までの高年齢労働者の処遇の改善に向け、就業規則等の定めるところにより高年齢労働者に適用される賃金規定等の増額改定に取り組む事業主に対して助成 |
助成金申請代行のメリット
(1)煩雑な書類作成の手間が省ける
助成金の申請資料は「計画時の資料」や「支給申請時の資料」など、その都度用意する必要があり、複雑かつ膨大な量になります。また、助成金支給までのスケジュールは厳密で、提出期限が1日遅れただけでも支給されません。更に審査には募集要項には書かれていないルールが存在することも。本業の傍ら、最新制度をキャッチアップしながら申請書類を適切に準備することは容易ではありません。
代行サービスなら、煩雑な申請書類の準備やチェック、スケジュール管理まで一任できます。
(2)受給の確率を上げられる
助成金は申請要件を満たしていれば受給できますが、書類の不備などがあれば申請が通らない可能性もあります。申請に慣れている社労士に依頼すればミスは起きづらく、ほぼ確実に受給できるでしょう。申請に必要な就業規則・雇用契約書・出勤簿・賃金台帳といった社内書類の整備状況をチェックした上で、不備や不足があれば、迅速に対応してもらえます。
また、繰り返し助成金を受給できるよう、継続的なフォローが受けられる点もメリットです。
(3)利用可能な助成金の幅が広がる
当然ですが、助成金は要件に該当していても、申請しなければ受給の機会はありません。代行サービスなら、数ある助成金の中から、自社に適した助成金選びの段階からサポートしてもらえるため、利用可能な助成金の幅が広がります。
助成金申請代行の費用相場
一般的に最初の相談(診断)は無料で、社労士に依頼した際に費用が発生。「着手金+成功報酬」が必要な場合と、着手金無料で「成功報酬」のみの場合があります。
費用相場は着手金が無料〜50,000円程度、成功報酬が助成金額の10〜25%程度。つまり合計1,000万円の助成金が支給されることになった場合、成功報酬として100〜250万円を社労士に支払う計算となります。成功報酬のみの場合、成功報酬が高めの傾向があるため注意が必要です。
社労士事務所の中には、顧問契約として1年契約で企業の人事や労務の管理をすることで成功報酬を割引しているケースもあります。
助成金申請代行の比較ポイント
(1)助成金申請代行の実績数
ひと口に社労士といってもメインの業務は様々。HPで過去の実績などをチェックし、助成金申請代行が得意な社労士を選びましょう。
たとえば、「ASC社会保険労務士法人」は助成金の受給件数7,153社以上を誇り、助成金受給に特化した社労士が対応してくれます。また、「社会保険労務士法人 日本経営労務」は、助成金専門のチームによる徹底した申請管理、事前の確認体制による不備のない書類作成を強みとしており、助成金の受給決定率100%(2020年度、不支給決定0件)といった実績があります。
(2)サービスの提供範囲
助成金の申請代行だけでなく利益アップや規則作成をはじめとしたトータルサポートに対応したサービスなら、受給した助成金を活用した労働環境の改善提案なども期待できます。
助成金申請代行から「就業規則の作成・見直し」や「労働保険・社会保険手続き」、「給与計算」など、人事・労務全般まで、ワンストップで対応してもらうことで、正しい労務管理も実現できるようになります。
(3)自社の業界に精通しているか
業界や分野を問わず幅広く対応できるのが前提ですが、飲食業に強い、建設業に強いなど、自社の業界に詳しい社労士を選択することで他社の事例を踏まえた上での提案が受けやすくなるでしょう。
たとえば、「社会保険労務士法人 大和総合労務事務所」は介護・福祉、医療、卸小売、製造業が得意業種であり、「大庭社会保険労務士事務所」は企業主導型保育事業に強みがあります。
主な助成金申請代行サービス
社会保険労務士法人 大和総合労務事務所
(出所:社会保険労務士法人 大和総合労務事務所公式Webサイト)
創業50年超の介護・福祉、医療、卸小売、製造業に精通した労務士法人。公的助成金の申請代行を重点的に行う。助成金専門のスタッフがおり、最適な助成金を選択・提案。「成功手数料制」を採用しており、助成金が受給できない場合は「手数料」は掛からないため、安心して申請代行を委託できる。「ほかの社労士と顧問契約をしているが、助成金だけお願いしたい」という場合にも柔軟に対応可。公式サイトには最新のおすすめ助成金情報なども掲載されている。
- 着手金:50,000円(着手金は、助成金が受給できない時は返金。受給できた場合は、成功報酬から差し引く)
- 成功報酬(成功手数料):30%。ただし、申請に必要な「就業規則」の作成・変更費用を含む(「トライアル雇用・特定就職者雇用開発助成金」などは20%)
ASC社会保険労務士法人
(出所:ASC社会保険労務士法人公式Webサイト)
受給実績7,153社以上、最大受給額3,318万円、受給率97.3%を誇り、大企業から中小企業、個人事業主まで幅広く対応する、助成金専門の社会保険労務士法人。助成金の専門家である社労士の中でも約2%しか存在しない助成金制度に精通した専門家が、一社一社にベストな受給率の高い助成金を提案し、申請から受給に至るまでワンストップでサポート。助成金の申請代行や受給可能かどうかの査定などの相談は、何度でも完全無料で対応。
- 着手金:無料
- 成功報酬(申請代行手数料):助成金受給額の10%~
日本社会保険労務士法人
(出所:日本社会保険労務士法人公式Webサイト)
行政書士法人をはじめ、社労士法人・労働保険事務組合・給与計算代行会社、人材派遣会社などを運営する日本最大級の士業グループ「SATOグループ」の一員であり、雇用保険助成金を中心業務とする専門集団。グループ企業の「SATO社会保険労務士法人」と全国各地で活躍する社労士事務所が連携する「助成金サポートネットワーク」により、助成金・補助金申請のサポートに日本全国で直接対応可能。
- 着手金:要問い合わせ
- 成功報酬:要問い合わせ
社会保険労務士法人・労働保険事務組合 経営管理センター
(出所:社会保険労務士法人・労働保険事務組合 経営管理センター公式Webサイト)
厚生労働省認可の労働保険事務組合を併設する社会保険労務士事務所。東京・大阪・神戸の3拠点にて業界トップクラスの顧問先2,500社の実績を持つ。独自サービスとして助成金申請に特化した専門チームを配置しているのが強み。助成金の受給完了後も、継続的に助成金を活用するためのフォローアップが充実。公式サイト上から登録できるメルマガでは、助成金のほか、法改正関連、厚労省発表などの様々な情報が得られる。
- 料金:要問い合わせ
TERAMOTO社会保険労務士法人
(出所:TERAMOTO社会保険労務士法人公式Webサイト)
年間200件超の助成金申請実績を有する、島根県発の人事・労務コンサルティングファーム。創業から30年以上にわたり、地元島根県を中心に個人事業主から大企業まで、幅広い業種・業態に実績を持つ。依頼企業の人事部という位置づけで業務を行っており、目の前の一時的な金銭だけに捕らわれることなく、中長期的な利益を踏まえた支援をモットーとしている。
- 着手金:無料(事前に計画届や交付申請が必要な助成金・補助金については、別途計画届・交付申請書の提出について費用が発生)
- 成功報酬:要問い合わせ
社会保険労務士法人 渡辺事務所
(出所:社会保険労務士法人 渡辺事務所公式Webサイト)
クリニック経営に関する労務や、クラウドを使った総合的なサービス提供を強みとする、社会保険労務士事務所。大阪を拠点に15年以上、500社以上の企業の労務支援実績を誇り、様々な業種に対しての助成金ノウハウや活用法の事例を持つ。助成金申請という一部分だけではなく、会社の利益を底上げするための規則や様々なリスク回避のためのトータルサポートを実施。クラウド化されたシステムの活用やクライアントごとの仕組みを構築することで、迅速な対応を目指す。
- 着手金:無料(内容によっては相談の上、発生する場合有り)
- 成功報酬:20〜25%(15万円未満の助成金の場合30,000円)
野﨑社会保険労務士事務所
(出所:野﨑社会保険労務士事務所公式Webサイト)
助成金受給までのサポートだけでなく、法的整備の支援や人事・労務面のコンサルティングなど、必要不可欠でありながら煩雑な業務をトータルで支援。社労士に申請代行を依頼するメリットをマンガで解説したり、目的(「パート・アルバイトを正社員にしたい」「管理職研修がしたい」など)から自社に適した助成金を検索できるようにしたりと、とっつきにくさを感じがちな助成金に関する情報を、初心者にもわかりやすく発信している。
- 着手金:無料
- 成功報酬(手続報酬):要問い合わせ
大庭社会保険労務士事務所
(出所:大庭社会保険労務士事務所公式Webサイト)
助成金の受給額の最大化を目指す社会保険労務士事務所。関連会社が事業を行なっているため、企業主導型の保育事業に強みを持つ。依頼を受けての「待ち」の姿勢ではなく、「攻め」の姿勢での積極的な支援が特長。コロナ禍以前からオンライン商談システムを導入することで出張費などの経費を大幅にカットすることで、リーズナブルな料金体系を実現している。フォロワー6,000人を超えるInstagramでは助成金にまつわるタイムリーで密度の濃い情報を発信。
- 着手金:無料
- 成功報酬:10%〜(「助成金パック」の場合)※料金は16,000円〜
社会保険労務士法人 日本経営労務
(出所:社会保険労務士法人 日本経営労務公式Webサイト)
申請した助成金の受給決定率100%(2020年度実績、不支給決定0件)、助成金申請金額1億9,000万超。助成金専門のチームによる徹底した申請管理と、事前の確認体制で不備のない書類作成を目指す。助成金の効果を波及させるためには、スポットではなく末永いサポートが必要であるという観点から、顧問契約のある企業限定で申請代行を行う。チャンスを逃さないよう、おすすめの助成金情報を毎月通知するサービスも。
- 料金:要問い合わせ
社会保険労務法人ミライズ
(出所:社会保険労務法人ミライズ公式Webサイト)
池袋、豊島区、新宿を中心に実績1,000件以上。オンラインで全国対応も行う、中小企業向けのサービスに特化した社労士法人。助成金受給に必須となる人事・労務コンサルを得意としており、助成金申請と同時に労務環境の整備を実現。従業員数名〜数100名の企業まで、様々な業種において豊富な実績を持ち、業界や規模に関わらず個別の要望に柔軟に対応可能。成功(手続)報酬は、顧問契約のあり・なしで変動あり。
- 着手金:無料
- 成功(手続)報酬:20%(顧問契約あり)、25%(顧問契約なし)
※就業規則・賃金規定・労働条件通知書・給与台帳・タイムカードなど書類チェックや作成が必要な場合は、所定の費用が掛かる
まとめ
助成金は一定の申請要項を満たせば誰でも受給でき、原則的に返済不要。企業にとって非常に有益な支援金ではありますが、申請が複雑で手間も時間もかかることがネックです。
その点、社労士に申請代行を依頼すれば、「煩雑な書類作成の手間が省ける」、「受給の確率を上げられる」、「ほかに利用可能な補助金の情報などを教えてもらえる」といったメリットがあります。
依頼先である社労士を選ぶ際は以下の点に注目し、比較検討しましょう。
(1)助成金申請代行の実績数
(2)サービスの提供範囲
(3)自社の業界に精通しているか
申請代行にかかるコストを気にして自力で申請を行うケースも目にしますが、初心者が不備のない申請書類を作成することは負担が大きく、本来の業務に支障をきたす可能性もあります。依頼するか迷う場合は、まずは無料相談を受けてみるのもおすすめです。