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製造業コンサルティング会社9選。支援内容やタイプ別の選び方

最終更新⽇:2024-08-08

製造業コンサルティング会社9選。支援内容やタイプ別の選び方

工場の業務効率化や技術継承、生産方式の見直し、現場での効率的なデータ活用などを行いたい製造業の方へ。製造業コンサルティング会社の支援内容や、タイプ別の選び方、そしておすすめの製造業コンサルティング会社を紹介します。

製造業コンサルティング会社とは?

製造業コンサルティング会社とは、工場内の業務効率化や経験豊富なアドバイザーによる技術支援など、製造業界に特化した支援サービスを提供する会社です。製造業特有の課題に対応し、現場の状況に即した専門的な施策で企業をサポートします。

製造業コンサルティング会社が提供する代表的なサポートは以下のとおりです。

  • 生産ラインの設計・再設計
  • 機械の選定
  • 作業員のトレーニング
  • 技術伝承、製品開発の支援
  • 生産・設計DXの促進

大企業から中小企業まで、それぞれの企業規模や事業内容に応じたサポートを受けられます。製造業コンサルティング会社のコンサルタントは現場を理解しているため、専門用語の説明もほとんど不要で、迅速に本題に入れます。

製造業コンサルティング会社の支援内容(できること)

サービスによっても異なりますが、主な支援内容は次のようなものが挙げられます。

(1)工場診断

工場を実際にコンサルタントが訪れ、以下の診断を行います。

  • 生産部門、設計・開発、購買・調達などすべての部門の診断
  • 現場観察とインタビューによる課題抽出
  • 経営層と現場のヒアリング
  • フリーディスカッションによる意見交換組織の弱みや強み・不具合箇所・無理や無駄の把握

現場の社員に直接話を聞いたり設備や工場全体の状況を見たりして、現場の人間だけでは気付けなかった課題を見つけ出せるのが特徴です。また、社員に直接聞くため意識向上にもつながります。設備状況をはじめとする工場の状態を第三者視点で分析可能です。

課題の発見後は現場の改善案や目標を提示し、工場が目標を達成するまでの支援も行います。会社によっては、自社工場のレベルやほかの工場との差を把握できるセルフチェックツールを無料で提供しているところも。コンサルティングを依頼する前に、工場の状態を少しでもチェックしておきたい場合に有効です。

(2)DX推進

工場のDXを進めるにあたって必要なIoT化や全体のプロセスの改善を行う支援です。デジタル技術を工場へ取り入れるために、まずはコンサルタントとともに明確なゴールを設定し、具体的なDXによる改善のイメージをつかみます。

更に、製品を生産する工場内だけでなく、開発や設計、材料調達、販売部門など製造業に欠かせない様々な部門のプロセスを見直すことで、効率よくDXの実現が可能です。コストダウンや効果的な仕組みづくりができるので、生産性の向上にもつながります。

(3)人材育成・技能伝承

社員に対してセミナーや研修、トレーニングを実施します。新人社員研修やリーダー向けの研修、社員のモチベーションアップのための研修など、目的に応じた幅広い種類から必要なものを選択可能です。人材育成研修を通して、組織や人材の活性化を実現します。セミナーや研修資料を公開している製造業コンサルティング会社もあります。

また、熟練社員の技術やノウハウの継承のために、暗黙知を抽出し、可視化したナレッジを現場で使えるように仕組み化するコンサルティング会社もあります。

(4)新規工場や事業の立ち上げ支援、販路開拓

新規工場や事業の立ち上げにあたって、営業力の強化や売り上げアップのための支援を行います。自社の技術が応用できる新商品の開発や、新規顧客の開拓、新たなビジネスモデルといった施策の提案が特徴です。

また、新規工場の立ち上げ支援では工場の建設場所や工場の仕様なども支援。実際に稼働させるにあたって必要な生産やシステムの準備を行います。

(5)経営診断

財務諸表(製造原価報告書・賃借対照表・損益計算書)などから財務状況を分析し、経営における課題解決を支援します。決算書などをもとに経営状況や見積もり状況を明確化。利益が思うように上がらない原因を特定し、効果的な解決策を提案します。

中には無料で財務諸表の分析や診断をするサービスも。経営状況の診断書や報告会を実施してもらえます。

製造業コンサルティング会社のタイプと選び方

解決したい課題の内容によって、製造業コンサルティング会社はいくつかのタイプに分けられます。

(1)現場改善に強み

現場を実際に視察し、現場のオペレーション改善やパフォーマンス向上に強みを持つタイプです。人材育成や設備の更新などにより工場の生産性を上げたい場合や、工場内の課題を明確にしたい場合におすすめです。

たとえば、「平山コンサルティング」では工場診断を実施し、現場の状況に即したゴールを設定。更に、課題の方向性が決まっている会社には以下のようなサービスを提供しています。

  • 「階層別教育」や「専門技能教育」などの研修やトレーニングの実施
  • ロット生産ではなく、1個流し生産方式を提案するプラン
  • オンラインでカメラを通した工場診断や改善策の提案をする「オンライン現場改善サービス」

また、「テクノ経営」では、1日で工場の全部門を視察し診断する「1日工場診断」や製造、人材、設備、海外、製造、間接、その他の6テーマをもとにしたコンサルティングなどが特徴です。

(2)業務実行支援に強み

製造業務や経営における戦略・プランの設計だけでなく、物流やエンジニアリングをはじめとする現場マネジメントを実行・支援するための仕組み作りに強みを持つタイプです。より効率的な業務の進め方を構築したい企業に向いています。

たとえば、「ジェムコ」では、サプライチェーンロジスティックスにおける構造上のロスや問題点を明確化。プロセスの整流化をゴールとして、達成のために部門を超えた合意形成を目指します。更に、ロジスティックスのなかでどこに問題があるのかを判断する「物流版人間ドック」を実施。運営方式などの視点から構造を可視化し、戦略レベルから実務レベルまで状況に応じた仕組み作りを行います。

(3)ピンポイントな課題解決に対応

課題に応じてコンサルタントをマッチングするタイプ。スポットコンサルティングで知識やノウハウ、アドバイスを素早く聞きたい場合や、自社の業種や業態、課題にぴったりマッチするコンサルタントを紹介してほしい場合におすすめです。

たとえば、「ワクコンサルティング」は「スポットコンサルサービス」として製造業の知識を有するコンサルタントと課題をマッチングし、1時間から利用できるオンライン相談を実施しています。会計や流通、生産技術など各分野に特化したプロフェッショナルによる対応が可能です。

また、「技術継承.com」は、多数の高度な専門技術者と個別契約を結び、クライアントの課題に応じた人材をマッチング。技術者の分野は機械から食品・バイオ分野まで多岐にわたります。

(4)原価分析に特化

売り上げや原価管理など、経営に関する数字の可視化により営業利益を向上させたい場合や、管理会計、原価教育など従業員の財務リテラシーを高めたい場合におすすめです。

たとえば、テクノアの「IT経営コンサルティング」では、中小企業診断士やITコーディネーターがITシステムを駆使した経営施策の立案から目標達成のためのPDCAサイクルまでを支援します。決算書の数値をわかりやすく幹部に伝えたり損益分岐点の分析をしたりして課題や費用構造を可視化。従業員が経営者視点で動けるように継続的にサポートします。

(5)技術的な課題の解決に特化

ITやコンピューター技術を活かして、技術的な課題の解決に取り組む、エンジニアリングサービスタイプ。スマート工場の実現を支援してもらいたい場合や、ITによりシステム基盤を見直したい場合に適しています。

たとえば、「Atfields」は「IT」「DS(データサイエンス)」「IE(インダストリアルエンジニアリング)」の融合や現場の状況に即した運用、改善活動の継続を重要視した支援を提供しているのが特徴です。

おすすめの製造業コンサルティング会社(現場改善に強み)

平山コンサルティング(株式会社平山)

平山コンサルティング公式Webサイト

(出所:平山コンサルティング公式Webサイト)

「トヨタ生産方式」(TPS)をベースに、クライアントごとに最適な生産方式の構築支援を行う製造業の現場改善特化型コンサルティング会社。40カ国で1,500社以上の改善実績がある。
コンサルタントが実際に現場へ赴いて課題を明らかにし、実態に合った目標設定を行う「工場診断」サービスを実施。直接従業員にヒアリングすることで、現場が納得できる具体的な改善案を提示できる。
自社の課題や方向性が定まっている場合には、目的別や施策別で現場改善コンサルティングサービスを利用できる。
また、デジタル化やDXが遅れている企業に対しては、現状分析に基づいた最適な施策提案から、ITシステム導入、データ分析まで、総合的に支援する。

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テクノ経営(株式会社テクノ経営総合研究所)

テクノ経営公式Webサイト

(出所:テクノ経営公式Webサイト)

製造業における様々な分野で4,500件以上のコンサルティング実績を持つ独立系コンサルティング会社。1980年の設立以来蓄積されてきた経営ノウハウを駆使し、独自の改善手法「VPM」(Value Producing Management)を中心としたコンサルティングを行う。
また、大きく6つのテーマにわかれた実践型コンサルティングを提供。製造部門なら生産性や品質の向上、人材部門なら技術伝承やモチベーションの向上など、製造現場の各プロセスで発生する課題解決を目指す。
更に、1日で現場視察や現場管理者へのインタビュー、意見交換まで行う「1日工場診断」サービスも実施。1〜2週間で工場診断の結果を分析・評価し、具体的な改善策を提案する。

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ゼロプラス(株式会社ゼロプラス)

ゼロプラス公式Webサイト

(出所:ゼロプラス公式Webサイト)

工場構築・調達・生産・販売領域を得意とするコンサルティング会社。工場内の導線が効率よくなるレイアウト提案により、生産性の向上を支援する。レイアウト提案では、2週間ほどで事前アンケートや事前ヒアリング、ヒアリング調査、報告書作成、報告会まで提供。5Sプロジェクトも推進し、現場の改善を図る。
「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」をはじめとする中小企業向けの支援策にも対応できる点が特徴。1時間程度の打ち合わせを実施した後、コンサルタント、チェック者、監督者、執筆者の分業体制により申請時の失点を押さえながら事業計画書や申請書の作成をサポート。補助金採択後の事務処理も支援している。

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おすすめの製造業コンサルティング会社(業務実行支援に強み)

ジェムコ(株式会社ジェムコ日本経営)

ジェムコ公式Webサイト

(出所:ジェムコ公式Webサイト)

「徹底した成果主義」を基盤に、戦略の提案だけでなくクライアントが課題の目標を達成できるような実行支援に強みを持つコンサルティング会社。4500社以上の実績。
営業とコンサルタントの2人体制「ダブルスタッフィング体制」を採用しており、営業担当がクライアントの課題とマッチするコンサルタントを選出。コンサルタントはヒアリングと現場視察から診断を実施し、「VE(バリューエンジニアリング)」をベースにした独自の指標を使用し改善策を提案する。
製造現場だけでなく、調達・物流改善などサプライチェーン・ロジスティックスの仕組み作りにも対応。コストや運営方式の面からロジスティックス・物流の構造の可視化を図る。クライアントのシチュエーションによってアウトソーシング政策の組み立て、輸送最適化など、適した方法で支援している。

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オーツー・パートナーズ(株式会社オーツー・パートナーズ)

オーツー・パートナーズ公式Webサイト

(出所:オーツー・パートナーズ公式Webサイト)

メンバーの多くが技術者の経験を持つコンサルティング会社。約90%のメンバーがトヨタやマツダといった、大手製造業出身。DX化に強みがあり、DX推進にあたってクライアントの現在地点に応じた課題解決を図る。
経営だけでなく、生産やエンジニアリングなど各領域に特化したコンサルティングサービスの提供も可能。生産領域の場合、ベテランが有する知識をマニュアル化してデジタルツールへ移し、若手・ベテラン関係なく活用できるようにする。ほかにも、生産領域でのDX進行度や課題を評価する「生産デジタルアセスメント」サービスも提供。DX化の達成に向けた実現しやすい具体的なシナリオ案を提示する。
エンジニアリング・PMへの支援としては、製品企画から製造後の評価まで実務ベースでサポートしたり技術者の育成をしたりする「製品企画推進」をはじめ、設計開発や新規設備導入など、技術面の課題についても幅広く支援している。

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おすすめの製造業コンサルティング会社(ピンポイントな課題解決に対応)

ワクコンサルティング(ワクコンサルティング株式会社)

ワクコンサルティング公式Webサイト

(出所:ワクコンサルティング公式Webサイト)

クライアントの課題に応じた最適なコンサルタントを派遣するコンサルティング会社。コンサルティングサービスは「プロジェクト支援型」と「人材マッチング型」の2種類がある。
プロジェクト支援型では問題に対してコンサルタントがチーム体制で解決へ導く。人材マッチング型では、課題に対してマッチするコンサルタントと1時間からのオンライン相談ができる「スポットコンサルサービス」、製造業に精通しマネジメント経験豊富なコンサルタントが、多様な知見から課題解決のためのアドバイスを行う「アドバイザリーサービス(顧問)」、専門分野に応じたコンサルタントを派遣する「コンサルタント支援サービス」を提供している。
そのほか、中堅・中小企業に特化したコンサルティングサービスも行っており、生産改革や製品開発マネジメントなど、各領域に詳しいコンサルタントが対応する。

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技術継承.com(株式会社英知継承)

技術継承.com公式Webサイト

(出所:技術継承.com公式Webサイト)

専門性に優れているエキスパートのみが登録している「技術アドバイザー」サービスを提供しているコンサルティング会社。長年培った知識と経験による高度な技術アドバイスを、クライアントの個別課題に沿って提供している。基本的には6カ月からの契約だが、案件によってはスポット利用も可能。
新人・中堅技術者の教育や資格試験対策講座など、クライアントのタイムスケジュールや必要な内容、深さなどに応じてカスタマイズされた訪問型のセミナーも実施している。
技術動向調査や業界ニーズ探索、特許調査など新規事業開発に必要な調査にも対応。

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おすすめの製造業コンサルティング会社(原価分析に特化)

IT経営コンサルティング(株式会社テクノア)

IT経営コンサルティング公式Webサイト

(出所:IT経営コンサルティング公式Webサイト)

伴走型IT経営支援サービスを提供しているコンサルティング集団。中小企業診断士やITコーディネータが無料で財務諸表診断を実施する。診断後に契約となり、財務分析や自社専用の原価計算構築といった現状分析を行う。
また、システムとして中小製造業向け生産管理システム「TECHS シリーズ」を販売。サブスクリプションでコストを抑えて小規模な企業でも利用しやすい「TECHS-S NOA」、多品種少量型の部品加工業者特化で複雑になりやすいデータを一元管理できる「TECHS-BK」、個別受注を採用している機械・装置業に特化している「TECHS-S」の3種類を展開している。
「TECHS シリーズ」の導入に際して、原価管理の現状調査とともにシステム運用の見直しや原価会議の進め方をはじめとする活用教育も実施。クライアントがスムーズにシステムを運用し、原価管理できるようにする。

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おすすめの製造業コンサルティング会社(技術的な課題の解決に特化)

Atfields(アットフィールズテクノロジー株式会社)

Atfields公式Webサイト

(出所:Atfields公式Webサイト)

IoTを活用した工場のスマート化サポートを得意とするエンジニアリングサービス。システム環境の構築や運用のほか、データを活用した課題の発見や工法の改善まで一貫して支援している。「IT」「DS」「IE」の多角的な視点からのアプローチが特徴。
IT領域ではスマート化の目標設計を行い、クライアントが求めるレベルに合わせたシステム開発と運用を実践。生産性を向上させるシステムを運用したいケースやシステム基盤を見直したいケースなど、状況に応じたソリューション提案が可能。
DS領域では「ビッグデータ解析サービス」や、データ収集と加工により設備管理の自動化・省人化を図る「データコレクションサービス」などを実施。
IE領域ではデータとツールを活用した「製造コスト削減サービス」や「生産能力向上サービス」、設備仕様の検討から実際の導入まで支援する「生産技術サービス」を提供。使用中の設備が抱える課題解決も支援する。

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まとめ

設備老朽化による業務遅滞や技術継承できる人材の不足、技術革新による競争激化など、製造業は様々な課題を抱えています。製造業コンサルティング会社は、現場で多様な経験と知見を持つコンサルタントが、現場改善やDXを通して製造業に特化した支援を行い課題解決を図ります。

製造業コンサルティング会社は、課題の内容に応じて次の5タイプに分けられるため、自社に合ったタイプの会社を選びましょう。

(1)現場改善に強み
(2)業務実行支援に強み
(3)ピンポイントな課題解決に対応
(4)原価分析に特化
(5)技術的な課題の解決に特化

コンサルティング会社を選ぶ際は、自社の課題に対応しているか以外に予算や期間なども考慮しておく必要があります。実績を確認したり資料をダウンロードしたりして、自社の依頼したい内容とマッチするかチェックしましょう。