インバウンド広告サービス9選。支援内容やタイプ別の選び方

最終更新⽇：2025-04-01

訪日外国人向けの集客を強化したい方へ。宿泊業や観光業、小売・飲食業の事業者をはじめ、自治体の観光推進担当者や広告・販促に関わる企業の方にも役立つ、インバウンド広告サービスのメリットや支援内容、タイプ別の選び方とともに、おすすめのサービスを紹介します。

インバウンド広告サービスとは？

インバウンド広告サービスとは、日本を訪れる外国人旅行者（訪日外国人）を対象に、訪日前の計画段階（旅マエ）、日本滞在中（旅ナカ）、帰国後（旅アト）といった各フェーズに応じた広告配信や情報提供を行うサービスです。

単に広告を掲載するだけでなく、訪日外国人の特性やニーズを理解したうえで、効果的な集客や認知度・顧客体験の向上を目指すことが特徴です。

インバウンド広告サービスのメリット

インバウンド広告サービスの主なメリットは以下の通りです。

（1）広告配信の精度向上

人流データや位置情報、端末の言語設定・通信キャリアの情報などをもとに、訪日外国人を特定したり、国籍、興味・関心、属性、使用アプリなどを掛け合わせてセグメントを絞り込んだりすることで、関心度の高い訪日外国人に向けた精度の高い広告配信が可能です。

中には、ペルソナ設定に活用できるアンケート調査に対応するサービスも。性別、家族構成、収入、居住地、旅行頻度、訪日経験、旅行目的などの項目を調査・分析することで、注力すべき訪日外国人旅行者像をより明確にできます。

（2）集客・購買率の強化

旅行の各段階（旅マエ・旅ナカ・旅アト）に応じた広告配信を行い、「いつ、どこで、どのような情報を届けるか」を最適化することで、旅行者の来店・購買などの行動につなげやすくなります。

たとえば、旅マエでは、現地SNSや検索エンジンを活用し、観光地の魅力やイベント情報などを発信。関心層へのリーチを高めます。旅ナカでは、現在地に応じて店舗情報やクーポン、予約ページなどを配信し、購買や来店行動を促進。旅アトでは、訪日履歴のあるユーザーに対して、再訪や越境ECサイトへの誘導が可能です。

（3）インバウンド対策の最適化

海外市場特有の課題に対応しやすくなるのも大きなメリットです。より効果的かつスムーズな施策の実行が可能になります。

たとえば、現地の文化や商習慣に精通したパートナーから、広告運用やローカルオンラインメディアの買い付け、為替リスクの管理、時差を考慮したコミュニケーションのサポートなどが受けられるサービスであれば、社内に専門人材がいなくても安心して海外施策を展開できるように。

また、各国の言語や文化に配慮した広告クリエイティブの制作や翻訳・ローカライズまで一貫して任せられるサービスもあり、現地のユーザーに届きやすい表現での発信が可能になります。

インバウンド広告サービスの支援内容

サービスによって多少異なりますが、インバウンド広告サービスの主な支援内容は以下の通りです。

集客支援

訪日外国人の来訪を促進するために、複数の広告手法を組み合わせた集客支援を行います。

検索エンジンやSNS、ディスプレイネットワークを活用したデジタル広告に加え、ナビゲーションアプリを活かした地図連動型広告に対応するサービスも。たとえば、訪日外国人がよく利用する地図や旅行アプリに広告を表示することで、対象店舗の近くにいる旅行者に対してメニューやサービスなどを訴求し、来店促進につなげられます。

更に、在日外国人インフルエンサーによるPRや、360度ビデオを活用したインタラクティブ動画広告などは、訪日前の見込み顧客に対して高い訴求力を発揮します。特に、観光施設やアクティビティーの紹介に対する関心が高く、実際の体験に基づくSNS投稿や口コミによって信頼性と拡散力のあるプロモーションが期待できます。また、空港やホテルに設置するプリントメディアや、地域イベントとのタイアップによるスポンサー広告も、旅行中の訪日外国人に直接リーチする有効な手段です。

そのほか、特定のWebサイトやSNSアカウントの閲覧者に広告を再配信する「リマーケティング」も有効です。訪日前には、興味・関心に応じた広告で旅行意欲を高め、広告主のサイトへの誘導を図ります。訪日中は、スマホの言語設定をもとに国別にターゲティングし、店舗や施設への来訪を促進します。

認知度向上

現地市場でのブランド認知を高めるために、各国のSNSプラットフォームに対応した施策を提供します。

たとえば、海外の旅行会社やメディア関係者を招待し、実際に体験した内容をSNSやブログで発信してもらうPR施策は、信頼性と拡散力を兼ね備えた効果的な手法として活用されています。こうしたSNSでの口コミを通じて情報が広がれば、ターゲット国における認知度の拡大にもつながります。

更に、直接現地の人々に日本の魅力を伝える手段として、現地でイベントや展示会を開催する取り組みも有効です。リアルな体験の場を通じて、日本に関心を持つ層に深く訴求できるだけでなく、Web広告やマス広告では届きにくい層へのアプローチにもつながります。

顧客体験向上

訪日外国人の満足度を高めるため、滞在中の快適さと安心感をサポートする各種施策を提供します。

たとえば、交通・観光情報や割引クーポンなどの配信により、旅先での利便性を高めるほか、外国語対応のコールセンターやコンシェルジュなどによって、言語面での不安を軽減します。また、ユーザーフレンドリーなWebサイト設計に加え、ハラールやベジタリアン対応などの文化的配慮についても多言語で情報発信することで、訪日体験の質を高めます。

効果測定・分析

施策の成果を客観的に評価し、次の改善につなげるための効果測定・分析も支援しています。

位置情報を活用した来店計測や、広告に接触したユーザーの滞在場所や来訪率を検証する「訪日検証」、広告接触後のブランド認知度の変化を測る「ブランドリフト調査」などによって、施策の実効性を可視化。旅行者の行動データやアンケート結果をもとにした分析レポートも提供し、継続的な改善につなげるPDCAサイクルの実践を支援します。

その他

訪日外国人向けの広告施策では、国や地域ごとに異なる言語や文化への配慮が求められます。こうした背景に対応するための運用体制を備えているサービスもあります。

たとえば、多国籍チームによる言語・文化対応をはじめ、訪日外国人向けに最適化されたLP（ランディングページ）や多言語サイトの制作・改善、ターゲット文化に合わせたデザイン調整、翻訳サポートアプリなどとの連携が挙げられます。更には、時差や為替変動など国際的な条件を考慮した運用設計など、実務面でも柔軟な支援が可能です。

インバウンド広告サービスのタイプと選び方

インバウンド広告サービスは、「何を強化したいか」や「どこまで支援してもらうか」によって下記の4タイプに分類できます。

（1）広告配信の精度を高めたい
（2）海外市場向けの広告運用を強化したい
（3）SNSプロモーションを強化したい
（4）制作物をローカライズしたい

それぞれのタイプについて、詳しく解説していきます。

（1）広告配信の精度を高めたい

独自データに強みを持つタイプ。位置情報データなどを活用し、高精度に訪日外国人を特定し、ターゲットに最適な広告をピンポイントで配信したい場合におすすめです。

たとえば、クロスロケーションズの「インバウンド広告」は、世界247の国と地域から収集した42億件以上のグローバル位置情報データをもとに、旅行者の「居住地」を特定。旅マエ・旅ナカ・旅アトといった行動フェーズに合わせて、最適なタイミングで広告を配信できます。

「WABITABI」は、広告配信の対象となる「各ユーザの移動情報」に関する特許技術を活用し、訪日旅行者のみを対象とした高精度な広告配信を実現。旅行中の外国人と在日外国人を正確に判別し、消費意欲の高い訪日旅行者へ最適なアプローチが可能です。

（2）海外市場向けの広告運用を強化したい

グローバル市場向けの広告運用に強みを持つタイプ。現地の市場特性や文化、言語などに配慮した広告運用を行いたい場合に適しています。

たとえば、The Digital Xの「インバウンドマーケティング支援」は、現地出身者や長期滞在経験のあるメンバーが担当し、リアルな視点で戦略を提案。現地の消費者像に即したマーケティング設計が強みです。また、ネイティブスピーカーがWeb記事や動画などのコンテンツを現地向けに最適化して制作するため、翻訳だけでは伝わりにくいニュアンスまで表現できます。単なる翻訳にとどまらない、ターゲット国に確実に響く広告展開が可能です。

（3）SNSプロモーションを強化したい

SNSプロモーションに強みを持つタイプ。訪日旅行者向けに、外国人YouTuberなどを起用するなどして、PR効果を高めたい場合におすすめです。ターゲットに合わせたコンテンツ企画や、インバウンド向けのSNS運用を支援し、認知度向上やSNS上での口コミ拡散につなげます。

たとえば、Tokyo Creativeの「SNSを活用したインバウンド広告と集客」は、運用ノウハウに加え、外国人視点でのコンテンツ制作力が強み。自社アカウントではYouTube登録者数20万人超、Instagramフォロワー3万人超を誇り、豊富な実績に基づいた施策設計が可能です。

（4）制作物をローカライズしたい

広告やプロモーション素材の翻訳・ローカライズに特化したタイプ。訪日外国人向けに、言語だけでなく文化的背景も考慮した広告制作を行いたい場合に適しています。ブランドイメージを維持しながら、ターゲット市場に最適化されたコンテンツを制作可能です。

たとえば、ファーストビットの「インバウンド向け外国語バナー制作」は、英語・中国語・アラビア語など9言語に対応し、各言語の表現ルールを踏まえて丁寧にデザインを再構築します。文字量やレイアウトの違いにも配慮し、日本語版の印象を崩さずにローカライズする点が特徴です。翻訳から制作まで一貫して任せられるため、ローカライズに不慣れな企業でも安心。企業のガイドラインに沿った制作や、対応言語以外の相談にも柔軟に応じ、多言語展開をスムーズに進められます。