プロボノマッチングサービス8選。メリットや注意点、選び方
最終更新⽇:2025-03-14

プロボノを受け入れたいNPO・企業・自治体の担当者や、自社社員のプロボノ参加を支援する企業の担当者へ。プロボノの概要やメリット、タイプ別の選び方、注意点とともに、おすすめのプロボノマッチングサービスを紹介します。
目次
プロボノマッチングサービスとは?
プロボノマッチングサービスは、社会や公共の課題解決のために、職業上のスキルや経験を活かしたい人と、支援を必要とするNPOや地域団体、企業などを結びつけるプラットフォームです。
プロボノワーカーは、経営支援、マーケティング、ITスキルといった自身の専門スキルを活かし、基本的に無償で支援を提供し、社会貢献しながら実務経験を積むことが可能です。支援スタイルには個人型やチーム型などの形態があります。近年では、企業が自社社員のプロボノ活動を支援し、社内プロジェクトとして組み込むなど、CSRの一環として活用するケースも増えています。
プロボノの定義(ボランティアや副業との違い)
プロボノはラテン語の"Pro Bono Publico(公共善のために)"に由来し、専門知識やスキルを無償で提供する社会貢献活動を指します。
ボランティアや副業との違い
プロボノとボランティアや副業との違いは、下図の通りです。
プロボノ | 特定のスキル・経験を持つ人が、それらを活かして無償で行う社会貢献活動 |
---|---|
ボランティア | スキルの有無に関わらず、無償で社会貢献する活動 |
副業・複業 | 本業以外で収入を得るための仕事を指す。スキル・経験を活かす場合もあるが、必須ではない |
ただし、プロボノは活動の目的や関わる組織の運用方針によって柔軟に形態が変わるため、状況によっては報酬が発生したり、ボランティア活動とみなされたりする場合も。また、NPOや団体がプロボノ参加者に対し、交通費や会議費などの実費を支給するケースもあります。
更に、プロボノの成果が高く評価されることで、後に有償の依頼につながることもあるため、スキルを活かしながらキャリアの幅を広げる機会として活用することも可能です。
企業・団体がプロボノを活用するメリット
プロボノの活用は受け入れる側、支援する側双方の企業や団体にとって、下記のようなメリットをもたらします。
プロボノを受け入れる側 | 自社社員のプロボノ参加を支援する側 | |
---|---|---|
1.企業価値の向上 | 支援によって団体の信頼性や認知度が高まり、資金調達や協力者の獲得につながる | CSR推進によりブランドイメージや評判が向上し、顧客や投資家からの信頼を得られる |
2.企業成長の強化 | 専門スキルの活用で組織運営が強化され、新たな協力関係や事業機会の創出につながる | 社会課題の解決を通じて、新たな市場ニーズやビジネスチャンスを発掘できる |
3.社員のスキルアップ | プロボノ人材との協働を通じて、新たな知見や専門知識を得られる | 社員が異業種の課題に取り組むことで、リーダーシップや問題解決力が養われ、業務の質が向上 |
4.採用強化 | 企業との関係が深まることで、新たなボランティアや支援者の確保につながる | 社会貢献活動に積極的な企業として認知され、優秀な人材の採用につながる。多様な人材を惹きつけ、企業の多様性が高まる |
5.コスト削減 | 無償の専門スキル提供により、外部コンサルや運営コストを削減 | プロボノを活用することで、社内研修コストを抑えつつ社員の成長を促進できる |
プロボノマッチングサービスのタイプと選び方
プロボノマッチングサービスは、支援の提供スタイルによって下記のタイプに分けられます。
(1)チーム型
チーム体制で支援するタイプ。事業戦略や資金調達、業務改善など、経営課題の中でも組織の根幹に関わる領域や、戦略的な視点が求められる支援に適しています。
たとえば、「サービスグラント」のチーム型プロジェクト支援では、多世代・異業種の5人前後のチームが1~6カ月の期間をかけ、非営利組織が抱える社会課題の解決に取り組みます。
この取り組みは、人材育成やCSR・CSV活動の一環としても活用されており、これまでに25社が独自のプログラムを実施。約1.5カ月の社会課題解決型人材育成プログラム「プロボノリーグ」には、30社200名以上が参加しています。更に、行政・財団・中間支援機関との協働も活発で、30の行政機関、10の財団・中間支援機関と連携し、地域や課題特性に応じた独自のプログラムを展開しています。
(2)個人型
オンライン上で団体が自由に支援を募集するタイプで、個人による支援が中心です。主にWebデザイン、システム開発、マーケティングなど、専門スキルを活かした支援が求められます。
このタイプは、支援者に報酬が支払われるかどうかによって、更に3つに分かれます。
2-1)無償に特化
ボランティアとして活動するプロボノワーカー向けのマッチングサービスです。
サービスグラントが運営する社会参加プラットフォーム「GRANT」は、NPOや地域団体が支援ニーズを発信し、個人単位で成果物の提供やアクション支援を行う仕組み。イベントの集客サポートやチラシ制作、取材・ライティング・広報、経営支援などのプロジェクトに最長3カ月程度の期間を定めて取り組みます。プロジェクトのほか、オンラインで1時間〜半日程度、団体の悩みに応える「オンライン相談」、地域活動の現場に短期間参加する「イベント」などの募集も。
2-2)無償・有償どちらにも対応
プロノボワーカーにも有償でのアルバイトや職員にも対応するタイプです。
たとえば、「activo」は、国内最大級のNPO・社会的企業のボランティアや職員・バイトの情報サイト。全世代向けで、ジャンルを問わず、ボランティアから社員まで様々な募集を検索し、応募可能です。NPO・企業側は従来よりも、少ない時間・コストで人材の募集を行えるようになります。
2-3)有償に特化
地方副業タイプ。特定のスキルを持つ個人が、有償で地方の中小企業や自治体に貢献できる仕組み。地方創生に関心がある人と、専門的なスキルを求める企業・自治体をつなぎます。副業についての詳細は「副業プラットフォーム比較14選。メリットや仕組み、選び方」をご覧ください。
たとえば、「Otanomi」は、企業や自治体の「課題」を起点に副業・兼業人材をマッチングできるプラットフォームです。地域の企業や自治体が困りごとやサポートを求める内容を登録し、それを見た人が「自分のスキルを活かせそう」と感じた場合に応募する仕組み。地域でスキルを活かし、副業として貢献できる場を提供します。
プロボノ導入時の注意点
企業がプロボノを導入する際には、プロボノを受け入れる側・提供する側の双方の視点から準備を進めることが重要です。
プロボノワーカーを受け入れる場合
プロボノが社会貢献を目的とした活動であり、通常の業務委託とは異なる点を理解する必要があります。活動内容や期待する成果を明確にし、プロボノワーカーと共有することで、双方の認識を一致させることが重要です。また、プロボノワーカーが活動しやすい環境を整えるため、時間の確保や情報共有の体制を整えることも欠かせません。
たとえば、「ふるさと兼業」のように、地域の実情や受け入れ団体のことを熟知した地域パートナーがプロジェクトのフォローアップを行ってくれるようなサービスを活用することで、受け入れ団体の負担を軽減しながら、プロボノワーカーとの協働を円滑に進められます。
自社社員がプロボノに参加する場合
社員がプロボノに参加しやすいよう、企業側の支援体制の整備も求められます。具体的には、ボランティア休暇制度の導入や勤務時間の柔軟化などが挙げられます。また、プロボノは無償で行われるため、本業に支障をきたさないよう、活動時間やスケジュールの管理にも注意が必要です。
具体例として、「activo」と連携する企業(株式会社リブセンス)では、ボランティア活動を目的とした休暇のうち、最大年3日を有給休暇として取得できる「ボランティア休暇」制度を導入し、社員の社会貢献活動を後押しする取り組みを行っています。
おすすめのプロボノマッチングサービス(チーム型)
サービスグラント(認定NPO法人 サービスグラント)
(出所:サービスグラント公式Webサイト)
日本における「プロボノ」の草分けとして、2005年に活動を開始したサービスグラントによるプロジェクト型支援サービス。
これまでに約2,000件以上のプロジェクト協働実績があり、参加団体の満足度は99%。企業や行政との協働プログラムも多数展開している。
各団体が直面する個別の課題に対し、期間を限定したプロジェクト型アプローチで具体的な成果物を提供する。
支援者は、説明会に参加しプロボノ登録を行った後、プロジェクトへ立候補し、選考を経て参加が決定する仕組み。支援を受ける側は、団体登録後に説明会へ参加し、助成申請フォームからエントリーが必要。その後、審査、採択内定、準備説明会を経て最終的に採択が決定し、支援がスタートする。
二枚目の名刺(特定非営利活動法人 二枚目の名刺)
(出所:二枚目の名刺公式Webサイト)
社会人が本業以外にもう一つの活動を持ち、社会と多様に関わることを促進する団体。
NPOや社会課題に取り組む団体の事業推進を支援する「サポートプロジェクト」を通じ、会社の外で新たな挑戦をしたい人や社会貢献をしたい人に機会を提供。
スキルや経験は不要で、団体の想いに共感すれば誰でも参加可能。オンライン中心の柔軟な活動スタイルで、ライフスタイルに合わせて無理なく取り組める。活動期間は3~4カ月で、チーム制のため異なる視点やアイデアを学ぶ機会も豊富。プロジェクトのテーマをともに考え、主体的に関われる仕組みや、伴走サポートによる安心の支援体制も整っている。
サポートプロジェクトへの参加実績は累計1,300名以上。企業に勤める社会人、公務員、フリーランス、学生など、20〜60代まで幅広い層が参加している。
おすすめのプロボノマッチングサービス(個人型:無償に特化)
GRANT(認定NPO法人 サービスグラント)
(出所:GRANT公式Webサイト)
全国各地の中間支援組織(コーディネーター)と連携し、NPOや地域団体と企業人、学生、シニア世代などの参加者をWeb上でマッチングする社会参加プラットフォーム。マッチング実績は1,800件を超える。
NPO・地域団体は、GRANT上で支援者の募集記事を掲載でき、目標・期間を明確に設定したうえで、いつでも複数の募集を公開可能。募集記事を見た参加者がエントリーし、団体自身がマッチングの可否を決定できるため、スピーディーに担い手を確保できる。
個人とのマッチングを基本とし、開始時には団体と支援者で成果目標を合意。明確なゴールに向けた具体的なアクションを通じて団体の活動をサポートする。また、ニーズが発生した際には即座に支援募集を発信でき、複数のプロジェクトの同時進行も可能。
ふるさと兼業(NPO法人G-net)
(出所:ふるさと兼業公式Webサイト)
愛着のある地域や共感する事業にプロジェクト単位で関われる兼業プラットフォーム。
誰と、何を、なぜやるのかを明確にしたプロジェクト型の募集を大切にし、受け入れ側が本気で募集している案件のみを掲載している。スキマ時間を活用したリモートワークや二拠点でのWワーク、期間限定の参画、更には、兼業禁止の企業に勤める人でもプロボノとして参加できるなど、多様な働き方に対応。移住を前提とせず、会社を辞めずに挑戦できるプログラムも充実している。
また、各地に根付いた地域パートナーによるフォロー制度を設け、プロジェクト設計や進行をサポートすることで、受け入れ団体と応募者双方が安心して挑戦できる環境を整備。掲載には地域パートナーの審査があり、単なる募集掲載にとどまらず、最適なマッチングを支援している。
ShareWorks(ShareWorks)
(出所:ShareWorks公式Webサイト)
クリエイティブスキルを高めたい人と、ボランティアを依頼したい人をつなぐサービス。依頼形式は、即決型プロジェクト、提案型プロジェクト、コンペ、タスクの4種類。
ボランティア参加者は、事前面接なしで参加でき、場所や時間にしばられずに活動できるため、専門スキルを実践的に磨きながら社会貢献ができる。実績を積み重ねることで専用のポートフォリオページを作成でき、就職や転職、フリーランスとしての営業ツールとして活用することも。
NPO団体のほか、個人事業主や中小企業も無料で募集を掲載でき、Web制作やシステム開発、翻訳など幅広いジャンルの依頼が可能。掲載募集はサイト上やSNSでPRされ、全国の登録ユーザーやフォロワーに向けて発信されるため、スムーズなマッチングが期待できる。
おすすめのプロボノマッチングサービス(個人型:無償・有償どちらにも対応)
activo(株式会社activo)
(出所:activo公式Webサイト)
月間約170万PVを誇る、国内最大級のNPO・社会的企業向けのボランティア・求人情報サイト。
社会貢献に関心のある人と、支援を必要とする非営利組織をつなぎ、最終的に助けを必要とする人々へ確実に支援を届ける仕組みを提供。
小学生からシニア世代まで幅広い層が参加できる社会貢献活動の募集情報を掲載しており、ボランティアだけでなく、NPOや社会的企業のインターン・アルバイト・職員求人も多数取り扱っている。社会問題や活動テーマも多岐にわたり、検索・応募・問い合わせが可能。また、無料会員登録をすると、条件に応じた情報のメール通知が受け取れるほか、activo経由の応募で活動支援金(準備中)や祝い金が贈呈される特典も用意。
NPO・企業側は、採用や集客支援のために無料で募集情報を掲載できる。
おすすめのプロボノマッチングサービス(個人型:有償に特化)
サンカク(株式会社リクルート)
(出所:サンカク公式Webサイト)
地方企業の人材確保の課題と、地元や地域に貢献したい都市部の人材を「副業」という形でつなぐリクルートのマッチングサービス。
全国の地方中小企業による多様な案件が掲載されており、本業で培った経験やスキルを活かしながら、週5時間から柔軟に挑戦できる。企業ごとに関わり方やタスクの難易度・ボリュームが異なるため、自分に合った働き方を選択可能。リモートでの業務が可能で、新規事業立ち上げや新商品開発、IT化支援、SNS発信、Web広告運用、人材育成支援など、多岐にわたる業務支援を通じて地域活性化にも寄与できる。面談や契約前には企業とのカジュアルな座談会があり、企業の雰囲気や案件の詳細を把握できるため、安心してスタートできる。
(東京都の事業所で受け入れる副業・兼業募集案件はサービス対象外)
Otanomi(株式会社シンカゼ)
(出所:Otanomi公式Webサイト)
地域の中小企業や自治体の「課題」と、それを解決できるスキル・経験を持つ「副業・兼業人材」をつなぐプラットフォーム。
従来の副業サイトが求人票をもとに募集を行うのに対し、Otanomiでは企業や自治体が抱える課題を掲載し、「何に困っているのか」が明確に見える仕組みになっている。単なる案件依頼ではなく、課題解決に向けて一緒にアイデアを出し、土台から構築していくことも可能。企画力・計画力・実行力を活かし、見えにくい課題にも対応できる場を提供する。
企業や自治体にとっては経営者の想いや事業に共感し、地域や企業の成長に貢献したいと考えるスキルのある人材と出会うきっかけとなる。掲載は無料で、まずは自社の課題をオープンにし、どのような人材が関心を持つのかを確認が可能。応募者とのやり取り以降は有料となる仕組み。
(23区内、横浜市、名古屋市、大阪市の企業・団体は現在利用不可)
まとめ
プロボノマッチングサービスは、専門スキルを活かしたい人と、支援を求めるNPOや地域団体、企業などをつなぐプラットフォームです。プロボノワーカーは、経営支援やITなどのスキルを無償で提供し、社会貢献と実務経験の両方を得られます。
企業や団体はこのサービスを活用することで、「企業価値の向上」「企業成長の強化」「社員のスキルアップ」「採用強化」「コスト削減」などのメリットが期待できます。
プロボノマッチングサービスは、下記のタイプに分けられます。
(1)チーム型
(2)個人型
2-1)無償に特化
2-2)無償・有償どちらにも対応
2-3)有償に特化
プロボノの仕組みを効果的に活用し、意義のある社会貢献と成長の機会へとつなげていきましょう。